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宮本亞門「コロナで言葉に重み」がん闘病振り返る新刊

「新型コロナで生と死について向き合い、どう生きるのか考えている人が多いのではないか」と話す演出家の宮本亞門

演出家の宮本亞門が、がんの闘病や復帰直後に襲ったコロナ禍を振り返ったエッセー集「上を向いて生きる」(幻冬舎)を刊行した。「新型コロナで生と死について向き合い、どう生きるのか考えている人が多いのではないか」と、前向きに生きるためのメッセージを込めた。

「突然目の前に死を感じた」。昨年4月、出演したテレビ番組の企画で見つかった前立腺がんをそう振り返る。「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇」という喜劇王チャップリンの言葉に救われたと語り、「繊細すぎる自分を鼓舞して、ただ悶々(もんもん)としている昔に戻らないように」筆を執ることを決めた。中学生の頃の自殺未遂体験、家族関係や闘病などを基に、生きづらさを感じる人が「いつか笑える日が来る」と思えるような一冊を目指したという。

「(中世ヨーロッパで)ペストの大流行がルネサンスをもたらしたように、コロナ禍で演劇に取り組んだエネルギーは刻印のように体に入っていくのではないか」。打撃を受ける演劇業界についてそう展望する。近年の舞台は「人々に受けたり、話題になったりすることが勝者」とみなされる傾向があったが、新型コロナで「人それぞれの本質に触れるようなものが求められるようになるのではないか」とみる。「自分とは全く違う考えでも輝く原石がある。そういうことを気づかせてくれる演劇の原点に戻るだろう」

自身が演出する舞台も、がん体験を経て「(登場人物の)喜怒哀楽をよりいとおしく思うようになった」。コロナ禍で分断や死が身近になったからこそ「言葉の重みが増し、うそはつけなくなっている」。「演劇には力がある。客は少ないかもしれないが、受け取った拍手を忘れたくない」と前を向く。

(北村光)

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