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61年ぶり発見の日本初「テレビ映画」を修復・上映

日本初のテレビ映画「ぽんぽこ物語」(C)TBSスパークル

61年間も所在不明だった日本初のテレビ映画「ぽんぽこ物語」のフィルム原盤が2年前に見つかり、修復を経て、1月24日まで放送ライブラリー(横浜市中区)で特別上映会(入場無料、定員30人)が開かれている。人間に生まれ変わった子だぬき兄妹の冒険をコミカルに描いた時代活劇で、日本のテレビドラマの源流といえる番組だ。

「ぽんぽこ物語」は後に「月光仮面」などで知られる川内康範が脚本を執筆し、少女スターの小鳩くるみが主演した。日本のテレビ草創期の1957年11月から翌年2月にかけ、1話10分のドラマを全73話、ラジオ東京テレビ(現TBS)が放送した。ドラマそのものは好評だったが、まだテレビ受像機が普及しておらず、再放送の機会もなかったうえ、フィルムの行方も分からなくなり「幻の元祖テレビ映画」になっていた。

TBSの関連会社が倉庫に眠る膨大なフィルムを整理する中で、今回のドラマを見つけた。ただ、フィルムは経年劣化が進み、17話分の音声フィルムは再生もできない状態だったという。修復とデジタルマスタリングを施した12話がDVD化され2020年2月に発売された(TBSホールディングス発売)。今回、日本唯一の放送番組アーカイブ施設である放送ライブラリーでは、DVD未収録の39話を加えた計51話を上映している。

日本のテレビ放送が始まったのは1953年だ。草創期のテレビドラマといえば「スーパーマン」などの米国製ドラマか、俳優がスタジオで演じる様子をそのまま映す生放送ドラマしかなかった。人気俳優が顔をそろえ、多種多様なドラマがつくられている今とはかなり様相が違っていた。そんな中、米国のようにフィルムで撮影・編集したテレビ映画、今でいうテレビドラマを日本でもつくろうという機運が高まった。「ぽんぽこ物語」はそうした事情を背景に生まれた。

「時代劇とミュージカル、コメディーという3つの要素をからめ、少年少女向けにドラマをつくった。予算に限界があったはずだが革新的。当時の制作者の心意気やチャレンジ精神に感銘を受けた」。テレビプロデューサーの市川哲夫氏は、20年12月に放送ライブラリーで開催した公開セミナーで先達の仕事ぶりに思いをはせた。

アーカイブ映像の掘り起こしを手がける、発掘プロデューサーの小島英人氏は「ぽんぽこ物語」に「ニュース映画の技術者の遺伝子を感じた」と指摘する。ドラマをつくった主力のスタッフはもともと劇場用ニュース映画をフィルムで制作していたプロたちで、ニュース映画から生放送ドラマと腕を磨き、ついに「ぽんぽこ物語」でテレビ映画を完成させた。子だぬきの兄役を演じた栗原真一さんは「月曜から土曜まで放送があり、どんどん撮らないとたちまちストックがなくなった」とロケやスタジオでの撮影に忙しかった当時を振り返った。

(関原のり子)

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