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文学賞オンライン化の極み?「VR待ち会」

野﨑まど氏が開いたSF大賞の「VR待ち会」。中央奥の黒いモノリスが野﨑氏。

日本の優れたSF小説などに贈られる第41回日本SF大賞(日本SF作家クラブ主催)の選考会が2月20日に開かれ、菅浩江著「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」(早川書房)と、林譲治著「星系出雲の兵站」シリーズ全9巻(ハヤカワ文庫JA)が大賞に決まった。選考会、発表ともオンラインで行われた。新型コロナウイルス禍で文学賞のオンライン化はすっかり定着したが、今回はさらに、賞につきもののあるイベントまでも仮想現実(VR)空間で行った作家がいた。

「タイタン」(講談社)で最終候補に入った野﨑まどが開いたのは「VR待ち会」だ。待ち会とは、賞の候補者が関係者らと選考結果の連絡を待つ会のこと。緊急事態宣言下の東京で集うのは難しいため、作家自身が遊び心たっぷりにバーチャルSNS(交流サイト)「cluster(クラスター)」を活用した会を企画した。VR空間に設けた会場を自身の分身である「アバター」が自由に歩き回り、会話もできる。

「準備に2週間かけた」と野﨑はいう。会場は100畳もの広さがある和室で、アバターとはいえ「密」に配慮。作家や編集者ら10人ほどが集まり、野﨑はSFの賞らしくモノリスのアバターで登場した。「他の候補作、読みましたか」といった会話と、VRならではの座布団投げの遊びが繰り広げられるなか、担当編集者の電話が鳴った。

残念ながら受賞ならず。すると野﨑は「こんな姿になりまして……」と、胴体に大きく「落選」と浮かんだアバターになって皆の前に現れた。「お集まりいただきありがとうございました。これで部屋自体が消滅するのは、とてもSF的ではないでしょうか」。結果はともあれ、大勢で楽しく騒ぐVRの空間には、ユートピアの輝きが感じられた。

(桂星子)

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