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幻想文学の旗手、山尾悠子に再注目 雑誌「夜想」で特集

「夜想#山尾悠子」には山尾自身の書き下ろしエッセーや近作掌編、金井美恵子らによるエッセー、評論などを収める

作家の山尾悠子(66)は幻想文学の旗手として熱心な読者が多いが、寡作でも知られる。2018年に刊行した8年ぶりの新作「飛ぶ孔雀(くじゃく)」は火が燃えにくくなった世界を彫啄(ちょうたく)された言葉でつむぎ、泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞の3冠に輝いた。近年再び脚光を浴びる山尾を特集したインディペンデント(独立系)雑誌「夜想#山尾悠子」(ステュディオ・パラボリカ)がこのほど刊行された。書き下ろしエッセー「年譜に付け足す幾つかのこと」や近作掌編、作家の金井美恵子、川上弘美、諏訪哲史、谷崎由依らによるエッセーや評論などを収め、作家論・作品論の両面で充実した内容となっている。

近作掌編は、結婚披露宴で鏡花作品について語る「『薬草取』まで」など2編を収録。寄稿エッセーで金井は泉鏡花賞授賞式に触れ、山尾が受賞スピーチで鏡花作品を語り始めると「小説の世界の空間と鏡花の世界の空間が、作中のイメージを通底して広がり、舟の上に舞いおりる少女の姿が眼前に結ばれるのでした」と記す。川上は山尾作品について「密度の濃さは、ほかに類をみない。密度が濃いのに、澄んでいる。ゆるみがないのに、刺してこない。絶望的なのに、愉快」と書く。

ほかに小中学校の同期生である翻訳家、金原瑞人によるインタビューや写真家、沢渡朔が20代の山尾を撮った写真なども見どころ。編集委員の一人でアートディレクションも手がけたデザイナーのミルキィ・イソベは「山尾さんは20歳のときに鮮烈なデビューを飾っており、そのときのイメージを写真で示したかった。一方で若い女性と協働したいという気持ちもお持ちのようなので、フェミニズムなど現代的な視点からも論じることを考えた」と話す。

(中野稔)

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