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震災を語り直す 体験者と非体験者むすぶ現代の「民話」

災厄と文化(1)記憶の継承

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地震、疫病、あまたの災害は常に我々のそばにある。災厄がもたらす荒廃をしなやかに受け止め、未来に花咲く芽を育てる手だてが文化だ。東日本大震災という未曽有の出来事から始まった、10年の歩みを追う。

聞き手と語り手「協働」の試み

あれから10年が過ぎた。岩手県陸前高田市には約10㍍もかさ上げされた新しい町ができた。歳月とともに震災の体験者が減りゆく中、津波の記憶、古い町の記憶は非体験者にどう継承されるのか。震災直後からこの町を記録してきた画家・作家の瀬尾夏美と映像作家の小森はるかは、ある実験をした。

4人の旅人が陸前高田を訪れる。16~25歳の若者たちで、津波も古い町も知らない。そんな非体験者が町を歩き、体験者に話を聞く。聞いた話を語り直す。「旅人が町の人の語りを何らかの形で引き受ける。継承のトライアル」(瀬尾)だ。

発想の原点は瀬尾と小森の体験にある。震災直後、取材攻勢で町の人々は「被災者」として描かれることに疲れていた。聞き手が語り手から「奪う」のでなく、どうすれば互いに納得できるか。行き着いたのが町の人々との「協働」だ。話を聞き、瀬尾が文章にする。それを当人に語り直してもらい、小森が撮る。

「語るに詰まる、いづらい。そんな感覚を拾いたかった」と瀬尾。「自分が撮りたいものを追う一方で、町の人も我々に受け止めてほしいものがある。その間にカメラを置ける時がある」と小森。

復興が進んだ2018年、町の人々は日常的には震災の話をしなくなった。一方で各地の展覧会などで声をかけてくれる若者が増えた。「外から興味をもち、触れ方に迷っている人に来てもらおう」と瀬尾は考えた。...

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