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ぴあの向こう側へ ミュージシャン 尾崎世界観

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中学生の頃〈ぴあ〉をよく読んでいた。比較的安価なこの雑誌を買って隅から隅までエンタメ情報に目を通しては、映画や演劇ならあらすじを、スポーツや音楽なら写真を、それぞれ僅かな情報を手がかりに勝手な妄想を膨らませていた。中でも特に、ライブハウス情報のコーナーが好きだった。たった数ページにぎっしりと見知らぬバンド名がひしめき合っていて「ライブハウス名」「イベントタイトル」「チケット料金」を頼りに、頭を働かせて必死で想像した。今でこそ、クリック1つでどんな無名バンドの写真でも簡単に出てくるけれど、当時、これはこれでとても楽しかった。

向こうが透けて見えそうなほどペラペラな紙を行ったり来たりしながら、都内のみならず関東近郊まで、色んなライブハウスを知った。次第に妄想だけでは抑えきれなくなり、ある日、実際にライブハウスに足を運んだ。学校が終わった平日、電車を乗り継いで向かった先は「新宿アンチノック」だ。南口の前の坂を下って横断歩道の先に目印の吉野家を見つけた時、緊張で体が強張った。地下に続く階段からは、重低音に混じってタバコと埃(ほこり)のニオイがする。まだリハーサル中で、うす暗い受付も無人だった。

「あれ、どうしたの?」

壁一面...

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