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文楽三味線の鶴澤清治「ギリギリのせめぎ合いが醍醐味」

文化功労者になった文楽三味線の鶴澤清治

「文楽の三味線は、ただの太夫(義太夫)の伴奏じゃない。表現をぶつけ合って、挑発し合って、力を引き出し合う、そんなギリギリのせめぎ合いこそが、文楽の醍醐味なんです」と、鶴澤清治は語る。昨年秋に、文楽の三味線で初めて、文化功労者に選ばれた。

2007年には人間国宝に認定されている。現役の文楽三味線では押しも押されもせぬ第一人者だが「先輩たちのレコードを聴くと、私など3度生まれ変わっても、かなわないと思う。そんな私が先輩を差し置いて、こんな立派なものをいただいて、申し訳ない」という。なぜ、かなわないのか。「戦前の、民主的でない社会で、厳しい修業を積んだ方の厳しい芸には、今の人間は到達できないでしょう」

とはいえ、少しでも先人の芸を伝えようと努力を続けており、共に舞台に出る太夫からは「(清治師匠には)舞台の上で叱られる」と言われる。「弾きながら、自分の方向に引き込んで、ダメなものはねじ伏せる。そうやって互いに鍛え合わないとね。今は、そういう自己主張が足りない。世の中全体の問題かもしれませんが」。厳しさで有名だった四代竹本越路太夫の三味線を長くつとめた経験から来る実感だ。

2月は国立劇場(東京・千代田)の文楽公演で「伽羅(めいぼく)先代萩」の「御殿の段」に登場する予定だ。弾くのは久しぶりで「過去のテープを聴き直し、(ともに舞台に出る、豊竹)呂勢太夫とともに、早くから準備しています」

仙台の伊達家で起きたお家騒動を題材にした作品で、若君の乳母、政岡の奮闘などが描かれる。「政岡の心情、愛情の注ぎ方などが、よくできた作品」。もちろん、三味線も難曲で、聴かせどころはたくさんあるという。

(瀬崎久見子)

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