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ライバルの長所、吸収したい 将棋・永瀬拓矢王座

新春棋談 会心の譜

あけましておめでとうございます。

昨年はかなり濃い一年でした。挑戦者決定戦にも何度か進出、一昨年よりは上位に行けた棋戦が多かった。叡王は失いましたが、王座は防衛。コロナ禍による過密日程もやっている時は大変でしたが、終わってみるとなかなかできない貴重な経験だったと思います。点数をつけるなら68~73点くらいでしょうか。(藤井聡太二冠に敗れた棋聖戦、王位戦の)決定戦で勝っていたら80点くらいですかね。

初の防衛戦となった王座戦では、久保利明九段を挑戦者に迎えました。振り飛車党との番勝負は初めてで、手探りで新鮮。久保九段は尊敬する棋士で、タイトル戦での経験の差を感じました。20歳近く上の先輩の姿を「自分の20年後のよいモデルになるのでは」と思いながら拝見していました。

五番勝負で一番印象に残っているのは第5局です。将棋のつくりはシリーズで一番よく、それを5局目で出せた。

(図は△5四歩まで)

一つ目のポイントが上の図、14手目△5四歩と仕掛けたところ。角交換から馬をつくる激しい戦いになり、読み抜けがあるとすぐ悪くなるので怖いですが、タイミングを逃すと先手に十分に組まれてしまう。事前の準備ではなく、その場で考えて仕掛けました。

下の図、56手目△4四歩と打った手も印象に残っています。4二の香車の利きを止めるだけに違和感のある指したくはない手ですが、△1六歩(角取り)の「後の先」。後日、ソフトで検討したところ△4四歩はベストの手だったようです。

(図は△4四歩まで)

この辺り、形勢はよいと思っていましたが、第4局もかなりいい所から逆転負け。「形勢がよい」は意味が無く、勝つことが求められているのだと痛感しました。この将棋を勝って初防衛でき、とてもうれしかったです。昨年は勝てば防衛という将棋が4局(叡王戦2局、王座戦2局)ありましたが、4連敗はきつい。勝率2割5分ですけど、結果が出てよかった。

年明けから渡辺明王将との王将戦七番勝負。久しぶりの挑戦、くらいついていけるよう頑張りたい。豊島将之二冠、渡辺王将、藤井二冠を含め今のタイトルホルダーはそれぞれが違う長所を持っている。他の方の良さを吸収していけたらいい。

昨年6月、棋聖、王位の決定戦で負かされた時の藤井二冠は見たことのないほどの強さでしたが、少しは差を縮められたかなと思います。年下の藤井二冠の方が伸び代は大きいと見るのが普通でしょうが、年齢は関係ない。縦(の伸び代)でダメなら横にしてもいいし、それもダメなら色で勝負する。常識を疑い、壊し続けて、自分の棋力を向上できるかが重要だと考えています。

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