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映画「ノマドランド」原作者語る 車上生活で働くシニア 

映画「ノマドランド」の場面(C) 2020 20th Century Studios All Rights Reserved

高齢者が車で寝起きしながら働き場所を求めて全国行脚する――。米国の貧困シニアをもうひとつの「ノマド(遊牧民)ワーカー」にたとえ、その現実を描く「ノマドランド」(3月26日公開)は、今年のアカデミー賞で最有力の劇映画だ。俳優フランシス・マクドーマンドが孤独な高齢女性をたくましく演じているが、映画の原作はジャーナリスト、ジェシカ・ブルーダーが2017年に発表した社会派ルポルタージュ。著者自らも車上生活を送り取材した。「米国で注目されるのは有名人や若者ばかり。シニアを描いたルポが映画化されたことに驚き、とても興奮した」とブルーダーは語る。

米通販最大手アマゾン・ドット・コムの倉庫で働く高齢女性の記事を読み、老後資金が足らず、車で暮らしながら働くシニアの存在を知った。米アマゾンにはこうした高齢者向けの雇用プログラムもあると聞き、「この世界をもっと知りたいと思った」。彼らは高騰する家賃から逃れるため車上生活を選び、「ハウスレス」を自称する。農作物の収穫作業、キャンプ場の清掃管理、イベント会場でのハンバーガー販売など、多種多様な短期の仕事に就くため車を走らせる。「すべてが驚きだった。トイレやシャワーはどうするのかなど、彼らにとっては毎日がチャレンジ。同じ境遇の高齢者仲間と情報を共有し、支えあって生きている。私自身も学ぶことが多かった」

映画「ノマドランド」の原作者ジェシカ・ブルーダー(C)Todd Gray

取材当時は08年の金融危機で貧困に陥った人たちが多く、大企業経営者などに富が偏る深刻な経済格差も背景にはある。さらにコロナ禍によって「家賃が払えず、車上生活を余儀なくされる人たちが今後、増える可能性がある」とブルーダーは懸念する。「本や映画を通して伝えたいのは、すべての人にこれまで生きてきた物語があるということ。彼らを正確に知ることで、偏見ではなく共感が生まれるはず」と期待する。

(関原のり子)

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