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ファストファッションの暗部、風刺映画で暴く

マイケル・ウィンターボトム監督「グリード ファストファッション帝国の真実」 Ⓒ2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

英映画界の鬼才マイケル・ウィンターボトムは、女性同士の悲恋を描いた「バタフライ・キス」(1995年)でデビューして以降、文芸からSFまで一作ごとに異なるジャンルの作品を撮ってきた。還暦を迎え巨匠の風格を漂わせ始めた彼の新作「グリード ファストファッション帝国の真実」(6月18日公開)は、衣料業界の暗部に切り込んだブラックコメディーだ。

マイケル・ウィンターボトム監督

スティーヴ・クーガン演じる主人公リチャード・マクリディ卿にはモデルがいる。「ファッション界の帝王として君臨したフィリップ・グリーン氏で、とても派手な催しやパーティーを開いた人物として知られている。そんな見せびらかし屋である人物をモデルにして、自由市場原理主義によって生まれた格差や、グローバル化によって途上国の労働者が低賃金で搾取されている問題をリアルに扱うことで、主人公や彼をのさばらせている現実社会を風刺できると思った」

労働を搾取される側として描かれるスリランカの実際の工場でも撮影した。「工場長から『工賃を安くしなければもっと安い工場にくら替えする』と発注先から脅しとも取れる圧力をかけられた話を聞いて作品中に盛り込んだ」。最近では日本企業の間でも少数民族・ウイグル族の人権侵害を考慮し、中国の新疆ウイグル自治区で生産された「新疆綿」の使用をやめる動きが広がっている。日本もひとごとでは済まされない先見性が本作に描かれていることも見逃せない。

終盤、リチャードが脱税疑惑などを払拭するために開く豪華なパーティーで事件が起きる。「予算の許す限りに再現したが、実際のパーティーはもっと派手でもっとグロテスクだ。やり過ぎだと思うかもしれない。でも、現実社会の鏡映しなのだ」

(近藤佳宜)

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