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震災の記憶 芸術が後世に伝える

「災厄と文化」まとめ読み

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東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故は、未曽有の荒廃に対して文化は何ができるのか、何を伝えられるのかという難題を突きつけました。映画や小説、美術、俳句に民俗芸能と、様々な芸術分野で活動する人々がそんな問いを胸にしつつ、この10年歩んできた道のりを全5回でたどります。

記憶の継承

■古い町の光景、津波が街をのみ込んだ様子など、震災にまつわる様々な記憶を非体験者に伝えることは、果たして可能なのでしょうか。震災直後から岩手県陸前高田市で活動してきた画家・作家の瀬尾夏美さんと映像作家の小森はるかさんは、一つの実験を試みました。旅人役の若者たちが街の人々から聞き取った物語を自分の言葉で語り直すというしくみ。2人はそれを現代の「民話」と位置づけ、映画にも撮りました。

場を生み出す

■悲しみ、無念、驚き、怒り、震災が人々の心に生んだ感情に寄り添い、ひたすら耳を傾けようとする小説家がいます。柳美里さんは鎌倉から福島県の南相馬に移り住み、自ら開いた書店を近隣の住民が集う拠点に育てています。福島出身の古川日出男さんは故郷で開いた文学イベントの〝挫折〟体験を胸に、被災地をひたすら歩き被災者の声を聞く旅に出ました。

ミュージアムの挑戦

■揺れや津波で壊れた建物のがれきや遺留物は、震災の実態を示す貴重な資料です。宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館はそうした「被災物」に美術のインスタレーション作品としての性質をも見いだし、展示を試みてきました。ものに宿る物語=ストーリーを来館者の心うちに強く喚起し、来館者自身に想像してもらうことで、震災の経験をより確かなものとして伝えたい。そんな思いが込められています。

葛藤する俳句

■短い17音のうちに季語を入れて表現する俳句という文芸は、災害や社会問題を扱うには適さない。そんなイメージを覆すような作品を、東日本大震災は数多く生みました。自らも被災した俳人たちは、目の当たりにした凄惨な光景の記憶にさいなまれつつも、亡くなった人々の魂を鎮め、生き残った者の苦境を少しでも和らげようと、句作に向き合ってきました。

芸能再生

■被災地に伝わる民俗芸能は、家や土地、ふるさとを失った人々が他者とのつながりを取り戻す土台になりました。岩手県大槌町に伝わる民俗芸能「大槌城山虎舞」は震災1カ月後には避難所で舞いを披露。関西地方の踊り手たちも巻き込み、地域を越えた交流、記憶の継承に一役買っています。新型コロナは芸能の公演に大きな打撃となりましたが、関係者は動画配信などを通じて少しでも上演の機会を作ろうと奮闘しています。

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