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尾崎世界観「小説でもいびつさ」 芥川賞候補作を刊行

「課題を克服したいと思ったのは小説が初めて」と語る尾崎世界観

ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル・ギターの尾崎世界観が、デビュー作「祐介」以来4年半ぶりとなる小説「母影(おもかげ)」(新潮社)を出した。初めて文芸誌に掲載された作品で、第164回の芥川賞候補となり話題を集めた。「音楽活動で目指してきた『いびつさ』を、小説でも表現してみたい」と話す。

母親が働くマッサージ店で放課後を過ごす小学生の女の子が主人公。カーテンの向こうで男性客の相手をする母の様子が子どもの視点で描かれる。まだ多くを知らない子どもの語彙で書くことは「懐中電灯で照らしながら暗闇を進むような感じ。書き始める手掛かりとしては良かったと思うが、後から特殊な設定なんだと気付いた」と振り返る。「やればやるほど、大人が書いていると見えてしまう」ことに苦しんだが、「大人が子どもを書くということ自体が持つ、いびつさや独特さを表現できた」との自負もある。

芥川賞受賞を逃したことは「『祐介』が書店のタレント本コーナーに並べられたときよりも悔しい」と打ち明ける。「『祐介』は、ホースの先を潰して水をぶちまけるように怒りを描いた作品だったとすれば、今作はもっと狙いを定めて言葉を届けようとした。狙った先は間違っていなかったけれど、もっと水量を放たなければすぐに乾いてしまう」ことに気付いた。

「僕の人生で、課題を克服したいと思ったりアドバイスを素直に聞いたりしたのは小説が初めて」。歌詞があいまいでも曲作りを進められる音楽活動とは違い、小説執筆は明確な言葉を見つけないと物語が進まない。「できていない部分が如実にわかるし、甘えがない。自分ができないことに向き合える」と、苦闘も楽しむ。

(北村光)

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