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恩田陸が初のモデル小説「日常は危ういバランスの上に」

「実在の事件を扱うにあたり、創作過程も明かした」と話す恩田陸

直木賞作家にして「夜のピクニック」「蜜蜂と遠雷」で本屋大賞を2度受賞している恩田陸(56)が、実在の人物を描くモデル小説を初めて手がけた。新作長編「灰の劇場」(河出書房新社)は、1994年に40代の女性2人が東京都奥多摩町で、橋から川に飛び降りて死亡したという事件に基づく。2人は私大の同級生で、都内のマンションで同居していた。

「2人の身元が判明したという新聞記事を読み、いくつもの疑問が頭を駆け巡った。以来20年以上にわたって、その記事は私の中で棘(とげ)のように突き刺さっていた。いつかはカポーティの『冷血』のようなノンフィクションノベルを書いてみたいとの思いもあったので、今回挑戦してみました」

記事は匿名での報道だったため、「モデル」といっても名前も顔も知らない人物について書くことになる。「(実在した人物を)こんなふうに想像していいのか、という迷いもあった。結果的に(創作)過程も含めて書くことにしました」

物語は3つのパートに分けられており、「1」では大学の同級生で一緒に暮らし始める女性2人の半生、「0」では作家の「私」がモデル小説に取り組む日々、そして「(1)」では小説が舞台化される様子がそれぞれ描かれる。「コロナ禍で私たちの生活が一変したように、日常は危ういバランスの上にある。日常を断ち切ろうとするきっかけは些細(ささい)なもののような気がします」

インタビューや対談など恩田を特集したムック「文芸別冊 恩田陸」(河出書房新社)も同時に刊行。「灰の劇場」の連載を終えた2020年8月末と1998~2000年ごろを描いた書き下ろし短編「灰の劇場 0+」「同 0-」を収めている。

(中野稔)

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