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リアル大学全入時代、ようやく実現? 23年4月にも

18歳人口減、定員増で

大学進学希望者を入学定員総数が上回る「大学全入」時代が名実ともにやってきそうだ。これまで実質的な全入時代と言われながらも、統計の上では実現していなかったが、2023年か24年の4月にも全入となる可能性がある。18歳人口が減るなか、定員数が増え続けてきたことが要因だ。

大学入学共通テストの会場へ向かう受験生たち(1月、東京都文京区)

文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」の資料によると、20年4月入学の国公私立大の定員総数約61万9000人に対し、大学志願者は約66万5000人で定員より多かった。18歳人口に対する志願率は56.8%となる。実際は定員を約3%上回る約63万5000人が入学することができた。

20年4月までの5年間の志願率は55・9~57・6%で推移してきた。文科省の資料では、今後の18歳人口の予想も明らかにしている。過去約20年の平均的な定員総数の増加率と志願率の上昇率を踏まえてシミュレーションすると、24年4月は定員約63万9000人に対して、志願者は約61万9000人(志願率58.4%で計算)にとどまると見込まれる。

23年4月はまだ定員総数が4000人超下回るが、24年は一転して約2万人上回ってしまう。実際は定員総数よりも入学者数が約3%多い現状を考慮すると、23年4月には前倒しで全入となってしまう可能性がある。

大学全入時代はどうして訪れるのか。理由として18歳人口の減少や定員増加がある。リクルート進学総研の小林浩所長は「大学進学率は少しずつ伸びているが、18歳人口の減少率が大きい」と解説する。18歳人口は1992年度に団塊ジュニア世代が約205万人とピークに達したが、その後は非婚者の増加や少子化を背景に20年度には約117万人まで減っている。その一方で、大学や学部の新増設などで98年4月入学で約51万5700人だった大学の定員総数は、20年には約61万8900人まで増加した。

ただ、進路の希望は学生によって様々。現状でも難関校を志望し浪人する生徒がいる一方で、学生の確保に苦労する大学は多数ある。今後は受験者を集めることができる大学と、定員割れが続く大学の二極化がより深刻になりそうだ。難易度の高い有名大学や、学習環境やカリキュラムなどの改革を通じて学生を集められる大学は競争率を保てそうだが、すでに定員割れに追い込まれている大学は、18歳人口の減少につれて経営が一段と苦しくなる。

大学入学共通テストに臨む受験生ら(1月、東京都文京区)

足元では、新型コロナウイルス禍という不透明要因があり、試算通りに志願者数などが推移するとは限らない。経済的に苦しい層が進学を控える可能性があるとする早稲田大学の浜中淳子教授は「進学を希望する人は資格・専門職を目指す傾向が強まったり、地元志向が高まったりするかもしれない」という。

早慶上智などの私大はライバル校や国立大などに一部合格者が流出することを見越し、定員を一定程度上回る合格者を出してきた。最近は文科省の定員厳格化の方針を受けて入学の難易度はやや上がっていたが、同省が定員抑制に向けより踏み込んだ措置をとらない限り「18歳人口が100万人を割り込んでいく35年度に向けて入学しやすくなる可能性がある」(教育評論家の小川洋さん)。いまの小中学生にとっては、大学全入時代の到来は朗報となるかもしれない。

(清水玲男)

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