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国際女性デーに考える 女性リーダー台頭を阻むものは

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国際女性デーを前に5日、イスタンブールで開かれた集会=AP

今日は国際女性デー。1904年の米ニューヨークで実施された婦人参政権を求めるデモが起源とされる。日本では46年、戦後初の衆院選で女性が初めて投票し、39人の女性議員が誕生した。全体のわずか8・4%でも、多くの女性は日本が変わると希望を持ったに違いない。あれから75年。時代は昭和・平成・令和と流れたが、衆院では9・9%とほぼ横ばいだ。役員数も増えたとはいえ、1割にとどまる。女性がリーダーとして活躍することを阻み続けるものは一体、何か。

世界銀行が2月23日に発表した経済的な権利を巡る男女格差に関する調査で、日本はコロンビア、ベトナムと並び80位だった。前年より6つ順位を落とした。就職やセクハラへの対応をみる「職場」と「給与」の項目が著しく低いのが原因だ。

経済協力開発機構(OECD)によれば、日本の女性の賃金は男性より24%程度少なく、平均(13%)よりも差が大きい。就業者数は約3千万人に増えたが、不安定な非正規雇用が半分以上を占める。生涯賃金は同じ学歴でも女性と男性で5千万円以上の差がつく。

ハラスメントも深刻だ。21年4月から始まる第5次男女共同参画基本計画には、若い女性らの切なる要望で「就活セクハラの防止」が盛り込まれた。

ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親は、子育てについて「教育を与え、翼を切らなかっただけだ」と答えたという。日本は女子というだけで医学部への進学を拒否され、社会では硬直的な制度や根強い性別役割分担意識によって翼を切られてきた。セクハラ行為を禁ずる法律もない。

報告書は2019年9月から20年10月までの期間を分析している。この1年だけでも27カ国・地域が法や規制を改善した。

近年、各国・企業は積極的に男女格差の是正に取り組んできた。韓国では女性の政治参画を進めるため、18年に比例代表候補者名簿の女性50%以上を義務化した。英国は男女間の賃金格差情報を公表するよう義務付ける。

企業でもイケアは全ての役職・階級で男女半々を掲げ、ユニリーバはすでに女性管理職50%を達成した。仏パリ市は管理職登用で男女それぞれ40%以上にすると定めたところ、女性を起用しすぎて違反と認定されたほどだ。

「男性らしさ・女性らしさ」など、日々の生活で刷り込まれた偏見は誰にでもある。国連開発計画によれば、男女の40%以上が男性の方が経営者層に向いており、雇用数が少ない時には男性の方が働く権利があると考えている。放っておけば拡大する偏見に対し、各国は法律や制度を変え、セールスフォース・ドットコムなどは賃金や昇格の平等を毎年確認することで向き合っている。

偏見を伝統や風土、文化といった言葉で肯定してしまえば、蔑視発言や差別行為も容認され、変わることに無頓着となる。

男女平等に向けて先駆的に制度や法律を変えてきたスウェーデン。ペールエリック・ヘーグべリ駐日大使は「変化することは誰にとっても簡単ではない。それでも私たちは様々な意見を出し合い、他国の事例に学び、互いに信頼を築いてきた。日本も声をあげ、議論を始めるときだ。それは女性だけでなく、男性のためでもある」と話す。もはや誰一人、傍観していてはいけない。

(女性面編集長 中村奈都子、木ノ内敏久、天野由輝子、関優子、高橋里奈、砂山絵理子)

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