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トヨタ純利益23%減の1兆1710億円 4~9月、原料高響く

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トヨタ自動車が1日発表した2022年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期に比べ23%減の1兆1710億円だった。同期間としては2年ぶりの減益。鉄やアルミといった原材料の高騰が重荷となり、為替相場の円安効果では補えなかった。前期比17%減の2兆3600億円としていた23年3月期の通期の純利益予想は据え置いた。

4~9月期の売上高は14%増の17兆7093億円、営業利益は35%減の1兆1414億円となった。営業利益は市場予想の平均を示すQUICKコンセンサス(23%減の1兆3378億円)を2千億円近く下回った。

市場予想を下回る決算や主な利益見通しの据え置きが嫌気され、午後1時25分の決算発表後、トヨタの株価は一時前日比2.5%を超えて値下がりした。オンラインで記者会見した近健太副社長は業績見通しについて「(原材料高など)将来に大きな変化を与えかねない変化がいくつも同時に起きており、半年先を見通すのも難しい」と話した。

通期の純利益は据え置いたものの、期中平均の想定レートは1ドル=135円と従来より5円円安方向に見直した。車載半導体の不足により、「トヨタ・レクサス」ブランドの世界生産台数の見通しは920万台と、従来見通しより50万台引き下げた。前期実績(857万台)や過去最高(17年3月期の907万台)を上回る水準は確保したい方針だ。

前期比20%減の2兆4千億円としている通期の営業利益も据え置いた。ただし、増減益の要因については細かく見直した。前期と比べると円安は年間で1兆850億円の増益効果と、従来見通しより2200億円引き上げた。トヨタは1ドル=1円の円安で、ドルだけで約450億円利益を押し上げるとしている。

原材料高による利益下押し額は1兆6500億円とした。従来予想に比べて500億円改善するものの、依然として重い負担となる。鉄やアルミ、貴金属といった原材料費の高騰が響く上、輸送費やエネルギー代もかさむ。この中には普段ならサプライヤーが自ら負担する原材料費や輸送コストなどの一部をトヨタが肩代わりする分も含む。

見直し後の営業利益予想で最も損益悪化要因となったのは「生産台数と生産車種の採算」だ。この項目が、従来予想比で4100億円利益を下押しし、前期比で1750億円の増益にとどまるとした。トヨタが生産見通しを50万台引き下げた分や、車載半導体の不足により、高級車の「レクサス」や「アルファード」といった好採算の車種の生産が特に滞っている点を考慮した。

このほかトヨタはロシアの生産撤退に関連し、営業損益段階で969億円の費用を計上した。ウクライナ侵攻により部品供給が止まり、既に撤退を明らかにしていた。このほか子会社の日野自動車の排ガスデータや燃費の不正に伴う費用も一定程度織り込んだ。

22年4~9月期は原材料の高騰が7650億円営業利益を下押しした。「トヨタ・レクサス」ブランドの生産台数は前年同期比10%増の448万台と、新型コロナウイルス禍前の19年(455万台)の水準をほぼ回復した。為替相場の円安効果(5650億円)や、販売費用の減少などでは補えなかった。4~9月期の為替レートは1ドル=134円で、前年同期に比べ24円円安となった。

想定通りに生産ができなかったため、子会社のダイハツ工業と日野自動車を含めた4~9月の世界販売台数は2%減の516万台となった。それでも同期間の独フォルクスワーゲン(VW)の8%減(415万台)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の4%減(295万台)よりは影響を抑えられた。

世界各地のシェアでみると、トヨタの現地生産や日本からの輸出が鈍ったため、米国では15.2%と前年同期より1ポイント弱下がった。同様に日本でも30.0%と4ポイント弱下がった。半面、中国や欧州では上昇した。欧州ではハイブリッド車の売れ行きが良かった。

例年4~9月期決算と通期決算で発表する自社株買いは今回、1500億円を上限に機動的に実施すると発表した。21年4~9月期決算発表時にも1500億円とし、22年3月に1000億円を追加した。上限で2千億円としつつ、うち1千億円は「機動的な取得枠」としていた22年3月期の決算発表時の公表分では10月31日までで合計1856億円の実施だった。

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