名古屋市、初の「転出超」に 22年の人口移動

総務省が30日発表した2022年の住民基本台帳の人口移動報告によると、14年に外国人の集計を開始して以降初めて名古屋市が転出超過に転じた。名古屋市を含む愛知県は7910人の転出超で、超過幅は前年から5000人あまり拡大した。三大都市圏の一角を占める名古屋圏でも東京圏への人口流出を防ぐ「ダム効果」が失われつつある。
総務省の人口移動報告は外国人を含めた日本国内の移動を集計する。国外からの転入や転出の動きは含まない。

名古屋市は22年、551人の転出超となった。日本人に限ると約4100人の転入超だったが、外国人が4600人あまりの転出超だった。県別にみると、愛知県の7910人のほか、三重県が4505人、岐阜県が3803人の転出超となった。名古屋圏全体では1万6218人の転出超で、超過幅は前年から5300人あまり拡大した。
名古屋圏からの日本人の転出超過数は拡大傾向にある。19年以降は4年連続で1万人を超えた。移動先は東京圏が大半で、年齢別にみると10代後半から30代前半までの若年層が多い。大学進学や就職のタイミングで名古屋圏を離れる人が増えている。
自動車産業を中心に製造業が強い愛知では、女性が東京圏などに流出するのがかねて課題とされてきた。愛知県は県外の大学と協定を結んで県内企業への就職を後押ししたり、女性起業家を支援したりしている。名古屋市は市内に進出したIT企業に最大1000万円を補助する制度を設け、誘致に力を入れる。