中部電力が上方修正、23年3月期一転最終黒字500億円へ - 日本経済新聞
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中部電力が上方修正、23年3月期一転最終黒字500億円へ

中部電力は30日、2023年3月期の連結最終損益が500億円の黒字(前期は430億円の赤字)になりそうだと発表した。1300億円の赤字を見込んでいた従来予想から一転して黒字を確保する。液化天然ガス(LNG)のスポット調達や卸電力の調達価格が下がった。

日本などアジア向けのLNGスポット価格は、足元で100万BTU(英国熱量単位)当たり30ドル前後と22年8月のピーク時から約6割下がっている。これまでの計画に比べ経常損益ベースで500億円の押し上げ要因だ。東京電力ホールディングスと共同出資している火力発電会社、JERAでLNGスポット調達量を抑えたことも500億円の損益改善につながる。

小売り子会社の中部電力ミライズでは、電気を売買する日本卸電力取引所(JEPX)で販売電力量の約1割を買い付けている。1月の平均取引価格は1キロワット時当たり約20円と1年前より1割安い。従来の計画より調達コストを350億円抑えられる。

円安・ドル高の修正の動きを受け、年間の業績予想の前提とする為替レートを1ドル=139円から136円に見直した。ドル円相場が1円円高になると23年1〜3月期の経常利益は25億円増えるという。

売上高は48%増の4兆円で、従来予想から1千億円引き下げた。新電力への顧客流出などに伴い、グループ全体の販売電力量は3%減の1139億キロワット時となる見通し。未定としていた期末配当は、前期末と同額の25円とした。

同日発表した22年4〜12月期の連結決算は、売上高が前年同期比54%増の2兆8140億円、最終損益が374億円の赤字(前年同期は131億円の赤字)だった。電力カルテル問題で公正取引委員会から課徴金納付命令の処分案を通知されたことを踏まえ、約275億円の特別損失を計上した。

中部電力では27日に、競合する新電力の顧客情報3600件を不正に閲覧していたことが判明した。林欣吾社長は30日の記者会見で「小売事業者間の公正な競争を阻害するもので、非常に重く受け止めている。原因を究明するとともに、再発防止策を考えていきたい」と話した。

林氏は4月から電気料金を約9%引き上げる法人向け標準プランに関して、顧客の負担を軽減する独自の施策を打ち出す考えも示した。資源価格の動向を見極めながら、3月末までに軽減策の内容や開始時期を詰める。

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