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中部の国内機械受注、4月は9割増 コロナ前の8割水準に

工作機械の受注が復調している。中部経済産業局が31日発表した管内主要8社の4月の国内受注額は104億円と前年同月比で91%増えた。29カ月ぶりに前年同月実績を上回った。活況な半導体産業がけん引役となり、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年4月(130億円)の8割の水準に戻った。

オークマやヤマザキマザック、三菱電機、ジェイテクトといった中部に生産拠点を置く8社を集計した。4月の国内受注額が前年比でプラスとなるのは2018年11月以来となる。コロナが直撃した20年4月の国内受注は54億円で、その前年の19年4月実績の4割に落ち込んでいた。

一方、海外向けは91%増の243億円だった。自動車やインフラ関連で米中からの引き合いが強く、海外向けの増加は6カ月連続だ。国内向けは設備投資に慎重な顧客が多かったが、反転の兆しが出てきた。

国内のけん引役は半導体関連だ。新型コロナ禍のリモート勤務の広がりを背景に、高速通信規格「5G」やデータセンターの通信設備機器の需要拡大で、半導体製造装置関連の引き合いが強まっている。

「半導体向けが絶好調だ。緩やかな回復が続くだろう」。オークマの家城淳社長は足元の市況について笑顔で話す。オークマの国内受注額は3月に28カ月ぶりに前年比プラスとなり、4月は前年比39%増だった。コロナ禍の「巣ごもり」を背景に食品包装のための金型向けの機械も堅調という。

国内受注額が前年同月比で2倍以上となったヤマザキマザックも半導体関連の需要が旺盛だ。関連企業からは数十台の受注を獲得したという。マイクロレーザー加工機に強い三菱電機も、半導体製造装置部品メーカーが多い北陸の顧客からの引き合いが強く、前年を上回る受注が続いている。

工作機械は半導体関連などで国内受注が復調している(三菱電機の工場)

当面は底堅い需要増が見込める一方で、受注額の水準は低いままだ。今回国内向けがプラスに転じたのは、前年に1回目の緊急事態宣言が発令されて営業が制約され、受注が急減したためだ。減少が始まる直前の18年11月(165億円)と比べても、21年4月の国内受注額は6割にとどまる。自動車市場向けの研削盤に強いジェイテクトは、世界的な半導体不足に伴う自動車メーカーの減産などを背景に「国内の先行きは厳しい」とみる。

「マザーマシン」(母なる機械)と呼ばれ、あらゆる製造業に欠かせない工作機械の受注額は景気の先行指標として注目される。国内では愛知など9都道府県で5月末までの予定だった緊急事態宣言の発令期限が6月20日まで延長されるなど、先行きへの警戒は強まっている。

加工をデジタル再現、DX対応急ぐ


コロナ禍による移動制限を背景に工作機械各社は商談やアフターサービスでデジタル技術の活用を進めている。デジタルトランスフォーメーション(DX)対応を急ぎ、経営効率を高める。
DMG森精機は販売前のテスト加工で、加工の精度や工具の切削力・振動をデジタルで再現する技術をこのほど導入した。実機の場合は、素材や工作機械を固定する治具の準備に時間がかかる場合があるが、デジタルの場合は最短2営業日で回答する。国内外で年6000件にも及ぶテスト加工の実績をベースに、精緻にシミュレーションすることで、実機と比べても誤差はわずかという。
専門組織を設け、デジタルで再現できる加工の範囲を広げていく。専用サイトを通じ、修理の依頼や部品注文を受け付けるサービス「サービスリクエスト」もこのほど始めた。アフターサービスのさらなる充実につなげる。
ヤマザキマザックは遠隔支援サービスに力を入れる。同社製の数値制御(NC)装置を搭載した工作機械の顧客を対象に、プログラミングのやり方を解説する動画が無料で視聴できるサービスを始めた。顧客が持つ機械一覧や操作マニュアル、部品の注文履歴も新たに無料でみられるようにした。
オークマは連結売上高の6割を稼ぐ海外にも商機を見いだす。国内には20年夏、商談などにオンラインで対応する「ものづくりDXセンター」を本社工場(愛知県大口町)に立ち上げたのに続き、米国やドイツの拠点でも、実機の加工の様子などが見られるサイトを用意し、顧客ニーズに応えている。

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