「トヨタ変革に不可欠」豊田章男氏、後任の佐藤氏に期待

トヨタ自動車の豊田章男社長は26日、社長交代についてオンライン記者会見を開き佐藤恒治執行役員を新社長に指名した理由について「トヨタの思想、技、所作を身につけようと車づくりの現場で必死に努力してきた」と語った。その上で「商品を軸にした経営をさらに前に進めてくれる」と期待を込めた。
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豊田氏は佐藤氏を後継に指名した理由として「付け加えるなら若さだ」とも述べた。経営者が13歳若返りすることになるが「正解がわからない時代に変革するにはトップが現場に立ち続ける体力と気力と情熱が欠かせない」と話した。
この時期に社長退任を決めたことについては「トリガー(きっかけ)となったのは内山田竹志会長の退任だ」と話した。豊田氏は代表権のある会長に就き「変革をさらに進めるために会長となって新社長をサポートする」とした。
内山田氏は会長を退き4月1日付で肩書は代表取締役となり、6月の定時株主総会を経て退任する。内山田氏は「以前から世代交代の必要性から退任のタイミングを考えていた。長くなると老害になりかねず、若い人たちにそう言われる前に退任を、と思っていた」と述べた。
質疑応答での主なやり取りは以下の通り。
――豊田社長の退任後の役割は何ですか。
豊田章男氏「会長として550万人が携わる自動車産業のために、応援団づくり、未来づくりで新チームを応援したい。自動車産業は変革期かつ危機的状況にあるため、社業をしっかりとサポートする。社内での役割は取締役会の議長と(テストドライバーのトップである)マスタードライバーになる」
「私は車屋なので、私が口を挟むと車屋としての域を超えない。『どこまでいっても車屋』という限界を理解したうえで、僕ができなかったモビリティカンパニーへの変革をミッションとしてやってほしい」
――現状にはどんな課題がありましたか。
豊田氏「佐藤新社長はエンジニアとして私以上にうまくやってもらえると思う。私はもう古い人間。若い人たちを適材適所で考え、新しいチャプター(章)に入ってもらうためには1歩引くことが大切だ。意識的に引かないとどうしても頼ってしまう」
「社長在任期間で一年たりとも平穏無事な時はなかった。当初は10年以上社長をやるとは考えていなかった。当時はお手並み拝見というムードでスタートした。逃げない、ごまかさない、噓つかない。もっと良い車を造ろうとやってきただけだ。13年かかりましたけど、バトンタッチの土台ができた」
――社長就任の内示にあたり、どんなやり取りをしましたか。
佐藤恒治氏「12月のタイでの耐久レースの際に告げられて以降、儀式的なものは何もなかった。対面やチャットツールなどで実践的な移行の準備をしている。経営を継承するにあたって、私一人ではなく、豊田社長の経営哲学を教え込まれたチームとして引き継ぐと思っている」
――内山田竹志会長はなぜ退任するのですか。
内山田竹志氏「75歳が見えてきたのがきっかけだ。チームはうまくいっているが、この状態で一年一年過ごしてモビリティカンパニーを実現できるのか、と。それから何回か豊田社長と話をしてきた」
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