デンソー、CO2再利用を事業化 35年に売上高3千億円
デンソーは26日、二酸化炭素(CO2)を回収して素材や燃料として再利用する事業を始めると明らかにした。温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を自社として2035年度までに達成することを目指しており、その具体策として位置づける。35年度に3000億円の売上高をめざす。モーターやインバーターといった電動車部品の売上高は25年度に20年度比で2倍の1兆円にする。

26日に開催したデンソーの事業計画を説明するオンラインイベントの中で公表した。
CO2回収事業では、デンソーが開発した太陽光発電で動くCO2の回収・分離機器を活用する。大気からCO2を回収して炭素と酸素に分離し、炭素をカーボンナノチューブをはじめとした素材に転用する。工場で発生したCO2を水素と反応させてメタンなどの燃料に再利用するシステムを他社を含めて導入する。25年度に社外での実証を始め、30年度に事業化することをめざす。
電動車向け製品は、ハイブリッド車や電気自動車の増加で需要が増加している。20年度の売上高は5500億円だが、25年度に1兆円にする。特にインバーターの需要が伸びており、21年度の生産量は20年度比で1.5倍の360万台分、25年度は同3倍超の800万台分を見通している。
設備投資や研究開発への支出も見直す。電動車や自動運転技術などへの支出は増やすが、「内燃機関などのメカ、ハードへの設備投資は大幅に削減する」(松井靖最高財務責任者・CFO)とした。ソフトウエアを活用した効率化も進め、25年度の研究開発費は4500億円、設備投資は3500億円とそれぞれ450億円ずつ削減する方針だ。
再生可能エネルギーの自社開発や外部調達、工場の省エネ化も進めて25年度には電力のカーボンニュートラルを達成するとした。35年度にはCO2の回収技術の導入を進め、ガス排出も含めたカーボンニュートラルをめざす。

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