中部電力ミライズ、燃料費の上限撤廃 法人向け値上げも
中部電力の小売事業を担う中部電力ミライズは26日、家庭向け電力プランの一部で、燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」の上限を撤廃すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻で資源価格が高騰する中、12月分の料金から適用する。
対象は「ポイントプラン」「おとくプラン」「Eライフプラン」などの自由料金プラン。契約件数は約350万件で、家庭向け契約の4割を占める。対象者には個別に書類で通知する。
燃料費調整制度は、燃料価格の変動を電気料金に自動で転嫁できる仕組み。液化天然ガス(LNG)や石炭などの過去3カ月分の平均燃料価格を基に、2カ月先の電気料金を算出する。
ただ、転嫁の上限は、事前に設定した基準燃料価格の1.5倍までと定められており、上回った場合の差額は電力会社が負担しなければならない。燃料価格は上昇し続けており、中部電力ミライズでは、早ければ10月にも上限に到達する可能性があった。6月の燃料価格をベースに試算したところ、標準的な一般家庭では月額86円、約1%の追加負担が発生するという。
これとは別に、法人向けの電力プランでは、電気料金を抜本的に引き上げる検討に入った。標準料金について、1キロワット時当たりの契約単価を引き上げることなどを想定している。
伊藤令執行役員は26日の記者会見で「ウクライナ危機などの影響で、燃料価格がさらに上昇する懸念が高まっている。厳しい事業環境下でも安定して電気を届けていきたい」と説明した。