三重県知事、JR東海に「引き続き名松線存続働きかける」

三重県の一見勝之知事は26日の定例記者会見で、JR東海の名松線(松阪―伊勢奥津、43.5キロメートル)について、運営するJR東海に「これまで通り、存続を働きかける」との意向を示した。地方鉄道のあり方を議論する国土交通省の有識者会議が赤字路線の存廃について提言を出し、同線の乗客数が存廃について議論をする基準を下回ったことを受けた。
三重県によると、名松線の1キロあたり1日平均乗客数(輸送密度)は287人。山間部を走るうえ、有力な観光地がないため、利用者の多くは沿線の高校への通学者が占めている。一見氏は「輸送密度でみれば、(存廃の議論の基準となる)1日1000人未満の条件に該当する」とした。
その上で「通院に鉄道を利用する高齢者らの交通弱者や、通学生のために交通を残さないといけない」と強調し、沿線自治体と足並みを揃え、利用振興策を考えていく意向を示した。
名松線は国鉄時代から廃止対象路線に挙げられたが、沿線の高校へのバス輸送が道路が未整備で難しいとして見送られた。JR東海も2009年10月の台風で一部区間が不通になった時に、一部区間を廃止する方針を打ち出した。この時は三重県、津市、JR東海の3者が復旧への協定を締結し、16年3月に全線復旧にこぎつけた経緯がある。
三重県は利用者が減少しているJR関西線についても、沿線の伊賀市や亀山市、JR西日本とともに利用促進に向けた話し合いを進めている。

赤字路線が増加、JRの一部路線では廃線の可能性も検討されるローカル線。地域の足である鉄道の維持のための取り組みや地方の鉄道が抱える課題などについてのニュースや解説をまとめました。
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