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中部4県の休廃業、20年は最多5475件 コロナで2割増

中部地方で休廃業(解散を含む)する企業が増えている。東京商工リサーチ名古屋支社によると、愛知、岐阜、三重、静岡県では2020年に前年比16%増の5475件と過去最高となった。増加率は全国平均の15%を上回る。経営者の高齢化や地方の後継者不足が続いていたところに、新型コロナウイルス下の先行き不透明感から事業の継続をあきらめる例が多い。

飲食店はコロナ禍で休廃業が相次ぐ(名古屋市内、イメージ)

休廃業・解散は4県すべてで増えた。中でも愛知が全体の52%(2859件)を占め、静岡が25%(1347件)と続いた。東商リサーチによると4県の企業数はおよそ16万5千のため、約3%が20年に休廃業した計算だ。

全10業種が前年より1割以上増え、特に飲食業をはじめサービス業(15%増の1562件)が全体の3割を占めた。コロナ下の外出自粛や時短・休業要請で売り上げが立たず、人件費や家賃といった固定費をまかなえないためだ。「企業がコストを減らす際に取引を打ち切られやすい」(東商リサーチの釣場想平氏)というコンサルタント業、広告業の休廃業も目立つ。製造業は18%増の848件だった。

休廃業企業の増えた大きな要因は経営者の高齢化だ。20年に休廃業した長野を含む5県の経営者は60歳以上が8割に達した。愛知県事業引継ぎ支援センターの今西昭一統括責任者は「代表者が急病になり、事業承継の手続きが間に合わずに廃業に追い込まれるケースがある」と話す。

コロナ影響の長期化を見据えた休廃業も目立つ。5県では休廃業企業の68%が直近まで黒字だった。全国平均(約62%)よりも業績が底堅い。「手堅い地域性もあり、中部では資金が底をつく前に事業を手じまいする傾向がある」(東商リサーチの釣場氏)。

雇用への影響は大きい。5県の休廃業企業が雇用していたのは集計できた分だけで約1万2千人。中部の主要企業ではイビデンやDMG森精機といった有力企業1社の連結従業員数に匹敵する。事業譲渡に伴う休廃業を含むため、約1万2千人全てが失業したわけではないが勤務先の変更や離職を迫られた人は多い。21年の休廃業件数は引き続き高い水準となりそうだ。

コロナ禍で閉業した名古屋市内のホテル

倒産企業も増加に転じる可能性がある。20年は4県の倒産件数が949件と19年比で1%減った。コロナ禍による国や自治体による資金繰り支援の積極化で目先の倒産は回避しやすかった。経済活動の停滞は長引いており、企業の経営基盤がどこまで持ちこたえるかが焦点になる。

東商リサーチによると「中小企業では売り上げが2割減少すると多くの企業で赤字になる」という。また同社の全国調査によると20年12月は回答企業のうち、3割弱が前年同月比で20%を超す減収となった。

M&A(合併・買収)の仲介を手掛ける名南M&Aの篠田康人社長は「円滑な事業承継には最低でも半年から1年の期間が必要で、できれば2~3年あると望ましい」と指摘する。このため「早め早めに後継者や企業の将来について考えないと、従業員の雇用にも影響が出る」と話している。

(野口和弘)

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