トヨタ社長「極めて残念」 日野自動車エンジン不正受け
トヨタ自動車の豊田章男社長は22日、日野自動車のエンジン不正問題について「ステークホルダーの期待や信頼を再度大きく損なう事態に至ったことは極めて残念」とするコメントを発表した。日野自が同日、一連の不正が小型トラックにも広がると発表したことを受けた。
小型トラックの不正が新たに判明したことで、日野自によるOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けるトヨタ車の出荷を停止した。豊田氏は「皆様の信頼に足る企業に生まれ変われるのかを注視し、見守ってまいりたい」とした。
日野自を巡っては8月上旬に外部の弁護士らによる特別調査委員会(榊原一夫委員長)が調査報告書を発表し、組織風土やガバナンス(企業統治)の強化について「3カ月で具体策をまとめる」(日野自の小木曽聡社長)としていた。トヨタの長田准執行役員は22日、オンラインで報道陣の取材に応じ、「気持ちを新たにやってきたばかりで心から残念でならない」と語った。
トヨタは問題発覚以降、技術者を日野自に派遣し、トヨタ式のチェック体制を敷いているという。ただ、「認証の取得プロセスなど乗用車とは異なる部分が多い」(長田氏)といい、トヨタの知見だけでは再建は難しいとした。長田氏は「日野ブランドを守るために日野の現場がどう変わり、組織の力を上げていくか」が重要になるとの認識を示した。
日野自は今回の不正発覚で国内で売る大半の車種が出荷できなくなる。トヨタでも日野自が生産する「ダイナ」など1.9万台が出荷停止の対象になる。トヨタによる資本注入など財務支援の可能性について長田氏は「日野がどう変わりたいのか示さなければ答えようがない」と述べた。
トヨタは2001年に日野自の株式の過半を取得し、子会社化した。当時は完成車メーカーがM&A(合併・買収)などによる拡大路線を強めていた。ただ、長田氏は「乗用車メーカーと商用車メーカーでいろいろな連携ができたかというと、ほとんどできていない」とした。