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バイデン大統領就任 中部企業 国際協調に期待相次ぐ 

米国の第46代大統領に民主党のジョー・バイデン氏が就任した翌21日、中部では経済界や企業から改めて通商、外交を中心に国際協調の進展を期待する声が相次いだ。新政権が重視する環境政策では再生可能エネルギーや車の電動化がさらに進むとみられ、中部の各社も対応を急ぐ。

自由貿易の枠組みは中部経済の成長を左右する(名古屋港)

バイデン大統領は20日の就任初日、温暖化対策に取り組む「パリ協定」への復帰や世界保健機関(WHO)の脱退取り消しといった政策転換を打ち出した。名古屋商工会議所の山本亜土会頭は「米国内の分断を乗り越え、自由主義のリーダーとして国際秩序の再構築に主導的な役割を果たしてもらいたい」と話す。中部経済連合会の水野明久会長は「米国は自国第一主義から国際協調路線に転換し、経済のグローバル化が再び進む」とみる。

21日に中部経済同友会の代表幹事に内定した天野エンザイム(名古屋市)の天野源之社長は、同日の記者会見で「米国の政策決定がトップダウンからボトムアップに変わるだろう」とした上で「急速な為替変動リスクなどが抑えられる」と話した。同社は医薬品や食品に使う酵素を輸出している。「為替対応の準備時間がとれるようになるのは大きい」という。

環境重視への転換に身構えるのは自動車業界だ。トヨタ自動車は14日、排ガスに関連した不適切報告を巡り米司法省に約186億円を払うことで和解したと明らかにしている。新政権を前に環境対策に真摯に取り組む姿勢を示したとみられる。

豊田通商の貸谷伊知郎社長は、米国のパリ協定復帰について「脱炭素社会に技術的な貢献が可能だ」と話した。再生エネや車両リサイクル事業を着実な商機につなげる考えだ。日本、欧州でも脱炭素の政策が相次いでいる。東海理化は春ごろまでに新たな二酸化炭素(CO2)の排出削減計画を公表する予定。トヨタ紡織は2021年度にスポーツ車向けのリチウムイオン電池の量産を目指すほか、太陽光など再生エネの利用を広げる。

自動車サプライヤーでは米中摩擦や関税の行方にも注目が集まる。「米国とメキシコ間の貿易障壁が下がるのではないか。我が社に限らず、停滞していたメキシコでの生産活動が加速するだろう」。デンソーの有馬浩二社長は見通す。愛知製鋼の藤岡高広社長は「海外から調達する資材もある。米中関係が安定し、闊達な自由貿易をさらに伸ばしてほしい」と注文する。

車の電動化が進むと搭載する部品点数は減る。自動車向けの防振ゴムを手掛けるダイワ化工(愛知県扶桑町)の大藪建治社長は「米国の動きをみると日本の温暖化ガスゼロ目標も早まる可能性があり、防振ゴムの需要減につながりかねない」と警戒する。

新政権は積極的な財政出動を打ち出す見込みだ。インフラ関連ではJR東海が米国で高速鉄道の技術支援に積極的だ。金子慎社長はワシントン―ニューヨーク間を超電導リニアの技術で結ぶ「北東回廊」構想を念頭に「(新政権は)公共事業に熱心だと聞いている。具体的な形で進展を期待したい」と話した。

バイデン大統領の就任を受けた21日の円ドル相場は小康状態で、日中は1㌦=103円台で推移した。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「新政権の巨額の経済対策で景気の回復期待が高まれば米長期金利の上昇とともに円安・ドル高基調が進む。輸出産業の多い中部企業にはプラスに働く可能性がある」という。(湯浅兼輔)

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