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新型特急に310億円投資、JR東海 コロナ後の観光に的

JR東海は2022~23年度にかけ、約27年ぶりとなる新型特急車両「HC85系」の量産を始める。約310億円を投じ、68両を計画する。名古屋から岐阜方面に向かう高山線を走る「ひだ」、和歌山方面の紀勢線を通る「南紀」の気動車(計80両)と順次置き換える。新型コロナウイルス下で足元の観光需要が停滞する中でも、中長期の成長投資を続ける。

約27年ぶり新型特急車両「HC85系」(JR東海提供)

HC85系はディーゼルエンジンと電力を組み合わせて走るハイブリッド方式だ。燃費が良くなるため、エンジンのみで走る現行の気動車に比べて二酸化炭素(CO2)を3割減らせる。同方式では国内最速となる最高時速120キロの営業運転を目指す。試験走行車は子会社の日本車両製造が手掛けた。量産メーカーは今後詰める。

車両の快適性も高めた。電源コンセントは全席に設け、無料Wi-Fi(ワイファイ)サービスを提供。JR東海の金子慎社長は「大変乗り心地が良く、環境負荷も小さな車両にできた」と胸を張る。新型特急車両の導入は1995年にデビューした「ふじかわ」「伊那路」で使う373系以来(寝台特急除く)。89年に導入した85系気動車からは約33年ぶりのリニューアルとなる見込み。

HC85系の導入計画はコロナ前に立てた。高山線は岐阜県高山市の風情ある街並み、紀勢線は熊野古道といった訪日外国人(インバウンド)に人気の観光地が多い。観光客の利便性をさらに高めるためにも、計画を変更せずに投資を進める。

JR東海の今期の設備投資は連結で7000億円規模で、うち半分強をリニア中央新幹線の関連が占める。東海道新幹線への投資額も大きい。300億円を超えるHC85系の投資は在来線では一大プロジェクトだ。新幹線の旅客減で21年3月期の連結業績は売上高が前期比半減の8630億円、最終損益が87年の民営化後で初となる1920億円の赤字(前期は3978億円の黒字)の見通し。一方で現預金は20年9月末で3200億円と厚い。HC85系関連の投資も手元資金でまかなえる規模だ。

通勤型電車「315系」のデザイン(同社提供)

JR東海は21年度から在来線で導入予定の通勤型電車「315系」の外観デザインも明らかにした。コーポレートカラーのオレンジと白を採用。消費電力を抑え、停電時の自走バッテリーや防犯カメラを同社の通勤車両としては初めて設置した。

315系は新形式の通勤型車両としては、武豊線や紀勢線を走る25形気動車以来、約10年ぶりとなる見込み。およそ720億円を投じ、21~25年度にかけて352両を新製する計画だ。中央線、東海道線、関西線といった名古屋や静岡を中心とした路線で順次導入する。

関西線を走る211系8両とも置き換える方針で、実現すれば87年の国鉄民営化より前に製作した車両は姿を消す形となる。

(野口和弘)

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