三重出身の映画監督・小津安二郎 生誕120年行事相次ぐ

1953年公開の「東京物語」などを手掛けた映画監督、小津安二郎(1903~63年)の生誕から2023年で120年を迎え、小津が青春時代を過ごした三重県で映画祭やバスツアーなど記念行事が繰り広げられる。ゆかりの地の松阪市、津市、伊勢市などで功績を伝える活動をしている団体が協力して郷土の巨匠の足跡を振り返る。

小津は誕生日と没した日が同じで、2023年12月12日に生誕120年、没後60年を迎える。21日に主催団体が記念行事を発表した。全国から映画ファンを集めてバスツアーを実施、6月には記念映画祭を開く。23年には小津作品の上映会や講演会などの様々なイベントが三重県内で予定されている。
松阪市は青春時代の日記を紹介する「小津安二郎松阪日記」を刊行、市役所などで12月に発売した。津市在住の映画評論家、吉村英夫氏もこのほどまとめた「『男はつらいよ』、もう一つのルーツ」(大月書店)で、小津から山田洋次監督へとつながる日本映画史を紹介している。
小津は東京で生まれ、9歳で松阪に移り住んだ。三重には1923年に上京するまで暮らし、この間、旧制中学を卒業後、現在の松阪市の山間部にある小学校で代用教員を勤めていた時期もある。
代表的な作品「東京物語」は今も世界で評価が高い。英国映画協会が発行するサイト・アンド・サウンド誌で映画監督が選ぶ「史上最高の映画トップ10」で2012年に1位、22年には4位に選ばれた。