/

苦境の中部空港、2本目滑走路に期待 住民意見を募集

訂正 24日19時30分公開の「苦境の中部空港」の記事中、2021年冬の就航先が「国内線6都市」とあったのは「国際線6都市」の誤りでした。

中部国際空港(愛知県常滑市)が苦境にあえいでいる。国際線利用は新型コロナウイルス禍前の1%と低迷し、2022年3月期の連結決算は2期連続で最終赤字となった。国が保証する「政府保証債」で資金繰りの悪化は避けたが、需要の回復は遠い。24日には27年度の稼働を目指す2本目滑走路について住民の意見を募る取り組みを始めた。

20日発表した22年3月期の連結決算は最終損益が122億円の赤字(前の期は179億円の赤字)で、売上高は8%増の163億円、営業損益は118億円の赤字(前の期は179億円の営業赤字)だった。

利用客数の回復に加え、物件費や人件費など約18億円を削減したが、コロナ禍前の19年3月期に比べ売上高は4分の1となり、営業損益も99億円の黒字だった当時に遠く及ばない。

23年3月期も107億円の最終赤字と3期連続の赤字となる見込みだ。出向先からの収入を得られるとして、22年3月末時点でグループの従業員全体の1割弱を占める約80人が同社のグループ企業に在籍したまま愛知県や自動車ディーラーなど外部に出向している。しばらく厳しい経営が続く。

ただ、中部空港の経営が資金ショートで行き詰まるリスクはほぼ無い。営業キャッシュフローが27億円の赤字だった前期も、元金と利息を国が保証する政府保証債を計242億円発行してしのいだ。

政府保証債は国が出資する中部空港のような企業が発行でき、低利だが極めて安全性の高い債券として銀行や証券会社が引き受けて大口の機関投資家に販売したりされる。この結果、21年3月期末時点で1392億円だった中部空港の政府保証債の発行残高は22年3月期は1545億円に増加した。

中部空港の21年4月~22年3月の利用者数は国内線が前の期比39%増の277万人とコロナ禍前(18年4月~19年3月)の4割強の水準に回復したが、国際線は5.5万人と同じく1%に過ぎない。旅客便の就航先もコロナ前の19年冬ダイヤのピーク時には国内線が19都市、国際線は42都市あったが、21年冬は国内線16都市、国際線6都市にとどまっている。

航空需要に回復の兆しが見えれば、航空各社は限られた経営資源をまず羽田空港や成田空港といった「ドル箱」路線の発着地に回す。中部空港の発着便数がコロナ前の水準に戻るのは首都圏や関西の空港の後になる可能性が高い。

中部空港の犬塚力社長も「(回復は)やはり首都圏や関西の方からと見ている」とした上で「我々としてはこの地域における需要喚起をしていかなければならない」と話す。空港を利用するパートナー企業の拡大などを図るとする。

そうした中で、2本目の滑走路整備に向けた動きが進んでいる。24日には整備に向け地元住民から意見を募るパブリックインボルブメント(PI)の推進協議会を設立した。中部空港は26年度までに現滑走路の東側に新たな滑走路を設け、27年度の稼働を目指している。2本目の滑走路整備により年間の発着回数は15万6千回と2割引き上げられる見込み。

一方、「大きいのは24時間稼働ができるようになること」(同空港幹部)だという。訪日客回復のカギを握るのは格安航空会社(LCC)とされるが、ビジネスモデルの肝は深夜や早朝にも便を運航し航空機の稼働率をできるだけ高めることにある。LCCの誘致で関西国際空港などの後じんを拝してきた中部空港にとって、2本目の滑走路整備はまたとないチャンスだ。航空貨物も24時間化でさらに取り込める可能性があるという。

コロナ禍で落ち込んだ航空需要が戻りつつある中、空港間競争は激化する。中部空港の競争力をどう訴えるのか。航空会社や旅客の誘致などでより緻密な戦略が求められそうだ。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 国内 海外 感染状況 論文・調査 Nikkei Asia

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

業界:

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン