肺がん見落とし、男性死亡 名大病院
名古屋大病院(名古屋市)は19日、愛知県の60代男性が2011年11月に受けたコンピューター断層撮影(CT)で、肺がんの疑いが見つかったにもかかわらず、主治医が見落とし、5年以上治療が遅れたと発表した。男性はがんが進行して20年3月に死亡した。病院側は医療ミスと認め、遺族に謝罪した。
病院によると、男性は11年に別の病気で受診し、CT検査を受けた。放射線科医が肺に影を見つけ、肺がんの疑いを報告。主治医は報告内容をコピーして電子カルテに貼り付けたが、がんの表記を見落とした。
男性は17年8月に背中の痛みで、再度受診。CT検査でステージ3の肺がんと診断され、化学療法や放射線治療を受けたが、その後死亡した。
外部の専門家が加わった調査委員会は「初期の肺がんに対し、適切な対応がなされず、がんの進行を許した」と指摘し、男性の治療を受ける機会を失わせたとの結論を出した。
名古屋大病院では、2015年以降、CT画像検査結果の放置や見落としで亡くなった患者が他に4人いる。
記者会見した小寺泰弘病院長は「不適切な医療行為が行われた。患者の死亡という結果をおわびし、冥福をお祈りする」と陳謝した。〔共同〕