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名古屋繁華街「錦3」は15%急落、商業地8年ぶりマイナス

中部3県2021年公示地価

国土交通省と中部3県が発表した2021年1月1日時点の公示地価は、愛知県の商業地が8年ぶりに下落した。新型コロナウイルスの感染拡大で繁華街の人出が減り、飲食店の集まる「錦」や「栄」で下げが目立った。住宅地も9年ぶりのマイナスに転じた。今後もコロナの広がり次第ではいっそう下落する可能性があり、先行きに不透明感が漂っている。

商業地では錦や栄の繁華街の下落率が高かった(名古屋市中区)

愛知県内の商業地は前年比でマイナス1.7%となった。商業地の調査地点482カ所のうち、上昇は全体の0.4%にあたる2地点にとどまった。20年の74.1%にあたる357地点から急減した。一方、下落は20年が7.1%の34地点だったが、今年は91.3%の440地点と大きく増えた。

下落率が最も大きかったのは、高級クラブやラウンジ、飲食店が立ち並ぶ中部最大の歓楽街「錦3(きんさん)」にある地点だった。外出自粛による売り上げ減の影響で15.2%下げ、全国でも7番目に大きい下落率となった。次いで、同じく栄の3地点も下落率の大きさで続いた。コロナ禍で突然客足が鈍り、商業ビルから退去する飲食店が相次いだ。テナントが抜けたことでにぎわいがそがれ、賃料収入の見込みを下げざるを得なくなったビルの不動産価値が下がり、周辺の地価にもそれが波及した。

ホテルが立ち並ぶ地域も下落した。中部運輸局によると、県内の20年の宿泊施設の稼働率は37%と、19年とくらべて32ポイントも低下した。訪日外国人客(インバウンド)を含めた観光需要の消失に加え、出張の減少も逆風となった。商業地の地価上位では名古屋三越栄店が前年の2位から3位に後退した。入れ替わって2位に食い込んだのがオフィスが多い名古屋駅前の地点で、商業地にくらべて落ち幅が小さかったことが影響したようだ。

住宅地も1.0%のマイナスとなった。住宅地の調査地点1298地点のうち、上昇したのが2.9%にあたる37地点にとどまった一方、下落が80.5%の1045地点を占めた。県内で最も下がった南知多町の一角は7.8%下がり、全国でも4位の下落率を記録した。同町は過疎化に加え、コロナ禍で主力の観光業や漁業が打撃を受けている点も下押しにつながった。名古屋市内は全16区のうち、13区で下落に転じた。南区など3区は上昇が続いた。

県内の幅広い地域で地価が下がった中で、プラスとなったり、落ち込みが小さかったりした地点には特徴がある。商業地はオフィス、住宅地では都心のマンションで上昇が目立った。

商業地では錦2丁目のオフィスビル「名古屋鴻池ビルディング」が2.0%上昇し、商業地で最も上がった地点となった。近隣の錦や栄で飲食店の下落が目立ったのとは対照的だ。地価で首位のミッドランドスクエアもオフィス棟を併設している。1平方メートルあたりの価格は1820万円で、前年比では1.6%の下落にとどまった。

住宅地では名古屋市都心の高級住宅街である橦木町(しゅもくちょう)や白壁の上昇が目立った。自動車産業の集積する刈谷市や安城市の駅近くの地点や、マンション開発が進む名古屋市中区も上がった。

今後については「商業地は下落が続く可能性もある」(不動産鑑定士の小森洋志氏)との見方が強い。今回は落ち込みが限定的だったオフィスビルも足元では空室率が上昇している。リモートワークがさらに広まり、オフィス需要が消失すれば、賃料の下押し圧力がかかるとみられるためだ。住宅地は都心の人気が高まっており、目先も都心と過疎地での二極化が進みそうだ。

三重県、10年ぶり上昇地点ゼロ


地価上昇に急ブレーキがかかった伊勢神宮内宮前(15日、三重県伊勢市)
三重県の公示地価は商業地、住宅地ともに29年連続の下落となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、名古屋圏の県北部や伊勢神宮(伊勢市)の周辺地価の上昇傾向に急ブレーキがかかって横ばいか下落に転じ、2011年以来10年ぶりに「上昇地点がゼロ」を記録した。
商業地の下落幅は前年より0・8㌽拡大し、マイナス1・2%だった。前年は上昇率で県内の1、2位だった伊勢神宮の内宮、外宮前の2地点はそろって横ばいに。訪日外国人(インバウンド)の依存度がもともと低かったことが要因となり、下落までには至らなかった。2地点を含めた横ばいは5地点にとどまり、下落地点が前年の倍近い102を記録した。最高価格は近鉄四日市駅前の四日市市諏訪栄町(40万円)で35年連続。
住宅地の下落幅は1・1%で、前年より0・4㌽広がった。四日市や桑名、津市の上昇傾向は止まったものの、商業地に比べると地価の下げ圧力は小幅だった。最高価格の津市大谷町(11万3000円)は8年連続トップ。

岐阜・高山は2桁上昇から2桁マイナスに


訪日客の姿が消えた高山の古い町並み(1月、岐阜県高山市)
岐阜県の公示地価は住宅地、商業地ともに29年連続の下落となった。商業地は1.6%下がり、下げ幅は前年より1.3ポイント拡大した。高山市の上三之町では12.2%の下落を記録。前年は10.2%の大幅上昇だったが、新型コロナウイルスの影響による訪日客の消滅が直撃した。住宅地は1.3%下がり、下げ幅は0.5ポイント拡大した。
商業地では、飲食店が集まる岐阜市玉宮町でも11.1%の2桁下落となった。不動産鑑定士でIR綜合鑑定の小池育生代表は「コロナ禍で観光や飲食関連へのダメージが特に大きい。ただ、その他への影響は2008年のリーマン・ショックほどではない」とみる。最高価格地は15年続けてJR岐阜駅前の大岐阜ビル(岐阜市)だった。
住宅地は全体で下落が続くものの、駅前再開発が進む多治見市やリニア中央新幹線の岐阜県駅ができる中津川市の地点で上昇した。JR多治見駅の徒歩圏では住宅の供給が限られるなかで需要は旺盛。中津川市ではリニア工事関係者の流入で物件が不足しているという。
工業地を含めた全用途では1.4%の下落。下げ幅は0.8ポイント拡大した。前年からの継続調査となった376地点のうち338地点が下落、上昇は10地点にとどまった。先行きについて小池代表は「飲食関連は内需に支えられて回復するが、観光地はその後しばらく時間を要するだろう」と話している。

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