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中部地銀前期、全7グループ純利益増 コロナ融資で利息増

中部の地銀の2021年3月期連結決算が17日、出そろった。7グループすべてが最終的なもうけを示す純利益を増やした。新型コロナウイルス下の資金繰り対策として各行が融資を伸ばし、貸出金の利息収入が増加した。自動車産業を中心に製造業向けの融資も伸びた。全国の地銀は半数が最終減益か赤字に転落しており、中部地銀の底堅さが目立った。

「貸出金の利息収入が12年ぶりにプラスに転じた」(名古屋銀行の藤原一朗頭取)。名古屋銀の21年3月末の貸出金残高は3兆1706億円と前年同月末比で12%増え、過去最高を更新した。貸出金と預金の利回りの差から得る利ざやはほぼ横ばいだったが、貸出金の量拡大が利息収入の伸びにつながった。

愛知銀行は11年ぶりに利息収入が前年を上回り、3月末の貸出金残高は2兆5355億円と前年同月比での増加率は2割を超えた。中京銀行百五銀行も貸出金を1割前後増やした。

株価上昇の恩恵も大きかった。日経平均株価は21年2月に一時3万円台を回復した。コロナ感染拡大の初期は訪問営業の自粛で金融商品の販売が落ち込んだが、株価上昇に合わせて投資信託の販売が持ち直した。投信の販売手数料などからなる役務取引等利益は6グループが前の期を上回った。各行はガバナンス(企業統治)改革で政策保有株(持ち合い株)の圧縮を進めており、株高で売却益が膨らんだ。

前期決算は総じて好調だったが、地銀トップは先行きを慎重にみている。理由のひとつはコロナの長期化に伴う貸出先の業績悪化だ。貸し倒れに備えて積む引当金と不良債権処理費用を足した与信費用は前期、全7グループで前の期を上回った。「事業継続をあきらめて廃業を選ぶケースが出てきた」(百五銀の伊藤歳恭頭取)という。

もうひとつは前期のような貸出金の伸びが期待しにくいことだ。前期は実質無利子・無担保融資など公的保証を付けた制度融資がけん引した。当初は借り手の負担がないことから、資金需要はなくても「予防的に借り入れる動きが広がった」(名古屋銀の藤原頭取)。製造業などで目立つといい、借り入れはそのまま預金として積み上がっている。今期は「既に借り入れた資金で対応する企業が多くなる」(同)とみる。

22年3月期は5グループが最終減益、中京銀は赤字に転落する見通しだ。コロナ下で与信費用が高止まりするほか、「米金利の上昇など市場環境は不透明で先行きは慎重にみている」(大垣共立銀行の境敏幸頭取)。中京銀は店舗削減などのリストラ費用が先行する。中京銀の小林秀夫頭取は決算会見で「構造改革をやりきる」と改めて強調した。

日銀の支援制度、全7グループが申請

三十三銀は日銀の支援制度を申請し承認された(渡辺頭取㊧、5月1日)

地域金融機関の経営基盤を強化する日銀の支援制度を巡り、中部では7グループ全てが利用申請をしたことが17日までにわかった。三十三フィナンシャルグループ傘下で5月1日に経営統合した三十三銀行の渡辺三憲頭取は申請が承認されたことを明らかにした。

制度は①経費率(OHR)の引き下げ、②合併や経営統合の実施、が条件になる。三十三銀は②に合致したという。対象に入ると地銀などが日銀に保有する当座預金に0.1%の金利を上乗せする。愛知銀行の伊藤行記頭取は「収益拡大や経費削減でOHRの条件を満たすことができる」との見立てを示した。

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