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三重・いなべ、「移住公務員」廃校活性化に大道芸

データで読む地域再生 中部

東海4県の2020年3月末時点の「移住公務員」(地域おこし協力隊)の任期終了者数は、1位が97人の岐阜県だった。2位は90人の三重県、3位は静岡県の80人、4位は愛知県で31人と続いている。このうちそのまま定住する人の割合の順位は異なり、1位は静岡県の73.8%で、2位は愛知県の64.5%が続く。3位は岐阜県(58.8%)、4位は三重県(50%)だった。

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市町村別に20年度に受け入れた地域おこし協力隊員数をみると、1位は三重県いなべ市の29人だった。4県の市町村で最多となったことについて同市は「具体的に助けてほしい事業をネットで提示して、応募者に分かりやすくしたことが多くの人材を呼び込む要因となった」(政策課)と話す。

例えば廃校になった学校をアスレチックや野外活動の拠点として活用する事業を掲げ、19年4月から運営する人を集めている。「自治体によっては事業運営にあたりコンサルタント会社と契約するところもあるが、現場感覚を重視した運営をしてくれるので助かる」(同)。21年度は14事業で募り、23人が活動している。活動した隊員のうち、任期が終わった人の7割が市内に定住したという。

地域おこし協力隊が廃校になった小学校に開いたカフェ(7月25日、三重県いなべ市)

2位の岐阜県郡上市は11年度から採用を始めた。元隊員の81%が市内に定住している。活動を円滑に始めた上で後に定住してもらおうと、郡上市では市が主体になるのではなく各地区の民間団体が隊員を受け入れる体制をとっている。「任期後も根付いてもらうために、初めから地域密着で住まいや業務をサポートしてもらう」(政策推進課)。隊員1人にかかる市の年間予算350万円のうち、隊員報償費は240万円で、残り110万円は地域団体への委託費に充てている。

これまで隊員が江戸時代中期から続く伝統行事「拝殿踊り」の音頭取りになったり、郡上産ジビエのファストフードの移動販売をしたりと地元の特徴的な資源を生かした事業を担っている。今後も「財源の範囲で、地域課題の意識が高いところに外部の新しい風をもたらしてほしい」(同)という。

3位は三重県尾鷲市で、20年度の受け入れ隊員数は12人だった。尾鷲市内には大きな製造業はなく「高校を卒業すると市外に出てしまう若者が多い」(政策調整課)という悩みを抱え、14年度から本格的に地域おこし協力隊を募ってきた。あらかじめ手掛ける具体的な事業を示し、面接も重ね隊員を募っている。飲食店誘致や特産品の販売拡大を任せてきた。任期を満了した隊員のうち67%が地域に残り定着している。

静岡県藤枝市の20年度の地域おこし隊員は10人と東海4県で4番目に多かった。市内で消費量の多いハンバーグの観光資源化を目指す隊員や、同市で盛んなサッカーの選手の暮らしを支援する隊員といった多様な人材を採用した。定着率は高く、これまで任期終了した8人のうち7人が現在も藤枝市で暮らしている。現役の隊員と任期終了者らがSNS(交流サイト)で、情報やノウハウを共有する仕組みが定住につながったと市はみる。

5位の三重県南伊勢町は人口減少が続き、地域おこし協力隊員の定住を促しており、メンバーを専用サイトを通じて募集している。ミスマッチが起きないように本選考の前にオンライン面接も行っている。「やる気をお持ちでもお断りする場合がある」(まちづくり推進課)。今後行政の事業の担い手を募集していきたいと考えている。

5位以下で注目されるのは7位の岐阜県八百津町で、任期後の定着率は80%に達する。「協力隊にとって任期後の収入確保が重要な問題」(地域振興課)といい、起業を後押しするのが特徴だ。

活動内容は藍染めや養蜂から楽器製作まで幅広く、将来的には元隊員の工房や店舗を観光資源に育てる狙いだ。

イベントで地元住民にマジックを披露する地域おこし協力隊の隊員㊨(7月25日、三重県いなべ市)

愛知県の地域おこし協力隊の任期終了者は31人と東海4県では最低で、受け入れ数で東海の上位10位に入る市町村もなかった。県によると過疎地など、協力隊を制度上受け入れることができる自治体が8市町村に限られ東海4県では最も少ないことが主因だ。そうした市町村が「観光などの面で認知度が低く、隊員を募集してもなかなか集まらない」(地域振興室)という。

東三河山間部の愛知県東栄町では任期が終了した隊員10人のうち8人が町内に住み続けている。同町の担当者は月数回のペースで隊員と会って、悩みや任期終了後の希望を話し合っている。任期終了後は起業する人が目立ち、町内にゲストハウスを立ち上げた人のほか、栽培したハーブを使ったクッキーを販売したり、地元の酒蔵の酒かすで手作りせっけんを製作したりする人もいる。

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