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バイトが偽造か、疑惑浮上 愛知知事解職で不正署名

愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡って総数の8割を超える約36万人分の大量の不正署名が明らかになり、県選挙管理委員会が刑事告発する事態に発展した。誰が不正を主導し、どのように大がかりに偽造したのか。知事らが速やかな実態解明を求める中、県警は慎重に捜査を進める。

大村知事のリコールを求める署名簿の写し。名前が記載された愛知県弥富市議が無断使用だとして告訴する事態になった=共同

「民主主義に対する重大な脅威だ。捜査当局には組織的な不正行為の全容を解明してほしい」。大村知事は16日、速やかな捜査を求めた。県選管は15日、容疑者は不詳とし地方自治法違反の疑いで県警に告発。リコール運動を支援した名古屋市の河村たかし市長は16日、関与を否定し、「事実関係を明らかにする」と述べた。

リコール運動は2020年8月に始まった。前年の芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展を巡る大村知事の対応を批判するもので、愛知出身の美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが運動の中心となった。

住民投票の実施に必要な法定の署名約86万6千人分に対し、高須氏らが選管に提出した署名は約43万5千人分だった。その後の選管の調査で、8割を超える約36万2千人分が無効と判明。このうちおよそ9割は複数の人物が何人分も書いたものとみられ、約半分は選挙人名簿に登録のない氏名が書かれていた。

さらに、運動に関わっていた名古屋市の広告関連会社がアルバイトを募集し、署名簿に偽の署名を書き込む作業をさせていた疑いも浮上した。リコール運動事務局の田中孝博事務局長は16日取材に応じ、「事務局がバイトを雇った事実はない」などと関与を否定。一方で、運動の関係者への聞き取りで、署名の偽造があったことを確認したと明らかにした。

改めて民意を問うために首長を解職するハードルは高く、署名の偽造は3年以下の懲役、禁錮または50万円以下の罰金の対象となる。県選管の加藤茂委員長は「民主主義の根幹を揺るがすことにつながりかねず、看過できない。事態を重く受け止め、課題を整理していく」と話す。

高須氏は「真相を究明したい立場は同じだ。捜査には何でも協力する」と説明。何者かが妨害のために偽の署名を紛れ込ませたとして、名古屋地検に告発状を送った。どんな個人情報が悪用され、誰が大がかりな不正を指示したのか。県警は膨大な署名簿の分析や関係者への事情聴取などによって全容解明を目指す。

芸術祭をきっかけに深まった大村知事と河村市長の溝が埋まらない中、4月には名古屋市長選を控えている。不正に関わった人数は多いとみられ、捜査がどの程度のスピードで進むかも焦点となる。

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