中部で3年ぶり花火大会 感染対策を工夫、資金に不安も

新型コロナウイルス禍で中止が相次いだ夏の花火大会が、2022年は中部3県でも相次いで再開する。打ち上げ場所や観覧席の並びを工夫して感染の対策をとりつつ、観光を盛り上げようと主催者は気をもむ。地域の景気が落ち込む中で課題は原資となる協賛金集めだ。

津市の御殿場海岸では30日に3年ぶりの花火大会が開かれる。伊勢湾の海上につくる打ち上げ場所は例年よりやや南。海岸の北の方に見物客が集まっており、打ち上げ場所を変えて南側にも人を分散させる。屋台の出店も見合わせ、打ち上げ時間も30分間とこれまでより45分短くなる。
三重県桑名市の桑名水郷花火大会も30日。こちらも19年以来で、例年1時間30分だった打ち上げ時間が55分になる。5千席の観覧席は協賛金を出した個人や団体、チケットを買った人だけが座れる。無料席は用意しない。
愛知県豊田市では「豊田おいでんまつり」のフィナーレとして31日に3年ぶりに花火が上がる。例年、約36万人が訪れていた中部有数の大会で目玉は総延長500メートルの仕掛け花火。コロナ感染を防ぐため観覧席の間隔をとる。
8月13日の新城納涼花火大会(愛知県新城市)も2年間の中断をはさんだ。会場の混雑を避けるため、協賛企業を紹介する仕掛け花火は実施しない。「資金の提供を断る企業も現れるのではないか」(同市観光協会)と不安を抱える。
花火大会は新型コロナが広がる前から、中止される街が全国で目立っていた。大会を支えた商店主が高齢化、地域景気も落ち込み協賛金は集まりにくい。警備員などの人件費も上がり費用が膨らんでいる。
7月と8月に岐阜市の長良川河畔で続けて開かれてきた2つの花火大会も22年は中止になった。地元新聞2社が主催してきたが、23年には一本化して「ぎふ長良川花火大会(仮称)」として開く計画だ。新聞2社と岐阜市、岐阜商工会議所を交え実行委員会をつくり、花火の存続を目指す。

長引くコロナ禍も引き続き影を落とす。「宮川の花火」として三重県で親しまれてきた「伊勢神宮奉納全国花火大会」(伊勢市)は3年連続の中止が決まっている。「日本3大競技花火大会」の1つで「花火職人が作品の腕前を競う大会だけに、再び感染が広がり中止となっても他に振り替えられない」(同市観光振興課)という。