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岐阜大と名大、航空機生産の研究拠点立ち上げ

公開された模型飛行機の自動生産ライン(19日、岐阜市)

岐阜大学と名古屋大学を運営する「東海国立大学機構」は19日、岐阜大の構内に航空機の研究・教育施設を立ち上げた。岐阜大が持つ部品の生産技術と、名大の設計についての研究を組み合わせて生産に関わる新技術を生み出す考え。教育の場所としても生かし、中部地方に集まっている航空機産業の活性化につなげる。

岐阜大と名大が立ち上げた「航空宇宙生産技術開発センター」の開所式でテープカットする関係者(19日、岐阜市)

「航空宇宙生産技術開発センター」の開所式を行い報道陣に公開した。岐阜大工学部機械工学科と名大工学部機械・航空宇宙工学科の研究に使い、教授や准教授、助教以上の研究者だけで約70名が在籍する。人工知能(AI)を用いた生産管理や、熟練工の動きを分析して次世代に継承する取り組みを研究する。自動搬送ロボットや高精度の自動加工機器なども開発する。

公開された模型飛行機の自動生産ライン(19日、岐阜市)

自動組み立てを学ぶ講義では、両大学の大学院生が産業用ロボットを使った模型飛行機の生産ラインをつくる。岐阜県内に工場がある川崎重工業から生産企画部の技術者が実習に加わり、生産ラインの効率の良しあしを指導。初年度は両大学の学生19人が受講する予定で、ものづくりの現場で必要な人材を育てる。

センターは3階建てで部品の加工機や組み立て装置、サーバーを備える。総工費は約6億円。それぞれの大学の拠点は引き続き使う。

公開された搬送ロボットの実験機。人が通りがかると自動で停止する(19日、岐阜市)

航空機は自動車に比べ部品数が多い一方で生産機数が少なく、加工に求められる精度も高い。機材に投資しても費用を回収できず熟練工の経験に頼る工程も多い。「安い自動加工機や、大量の部品を管理する情報システムを実現できれば大幅な効率化につながる」(小牧博一センター長)

開所式で松尾清一・東海国立大学機構長は「航空機は中部産業の要。人材育成や教育から地域に貢献したい」と話した。中部経済産業局によると、中部5県(愛知、岐阜、三重、石川、富山)の2020年の航空機部品生産額は5663億円で国内全体の5割を占めた。新型コロナウイルスが流行して航空機の生産が落ち込んでおり、前の年と比べ3割少ない。人件費が安い中国やベトナムが受注を伸ばすなど国際競争も激しい。効率的な生産の確立は急務だ。

それでもコロナ禍が収束すれば、世界で運航するジェット旅客機は途上国の所得の伸びなどを背景に大きく増える見込み。東海国立大学機構は将来の航空機需要の伸びに対応するため、企業とも組んで体制を固める。

岐阜大学と名古屋大学の運営法人が2020年4月1日に統合して「東海国立大学機構」が発足して1年がたった。研究体制を整えるとともに地域への貢献を目指しており、糖がつながってできた生体高分子「糖鎖」などの分野でも拠点を立ち上げた。一方で松尾清一機構長は学内のデジタル化について道半ばと説明している。

東海国立大学機構は両大学の研究でも国際競争力のある「糖鎖」「航空宇宙」「医療情報」「農学」の4分野に人材や財源を集中させている。糖鎖については昨年「糖鎖生命コア研究拠点」が発足した。2万人の血液を集めて病気などとの関連を明らかにするプロジェクトを始める予定だ。

松尾機構長はデジタル化について「まだ、学生に統合のメリットを実感してもらえるレベルには達していない」という。今月1日にはデジタル化を進めるデジタルユニバーシティ室を発足させた。21年度は両大学の学習管理システムを統合、VR(仮想現実)を使った遠隔講義にも取り組む。

同機構は運営法人の下に複数の国立大学が入る「アンブレラ方式」と呼ばれる統合の初めての事例だ。経営のスリム化や研究、教育てこ入れへの取り組みは、各地で進む同方式での国立大学の統合や経営改革の試金石として注目されている。

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