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愛知商業地、東京・大阪より上昇率大きく 23年公示地価

国土交通省と中部3県(愛知、岐阜、三重)が22日、2023年1月1日時点の地価調査(公示地価)を発表した。愛知県の商業地では1年間の平均上昇率が3.4%と、その前の年(1.7%)を上回った。東京都や大阪府よりも伸びが大きく、特に高級ホテルや大型ビルの建設が進む名古屋の繁華街・栄で値上がりが目立つ。

愛知県内の商業地では、調査を続けている475地点のうち86%で22年1月1日と比べ地価が上がった。21年1月から1年間で地価が上がったのは全体の71%だった。

今回の調査で上昇率トップは地下鉄・久屋大通駅近くの「シティコーポ久屋・建設会館」だった。13.8%上がり、1平方メートルあたり価格は140万円。

名古屋市内では10年前後に名駅周辺の開発が盛んだったが、近年は栄周辺で再開発が活発だ。23年7月には中日ビルが竣工する予定で、高級ホテルTIAD(ティアド)も開業する。26年には中部電力MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔)を超え、米ヒルトンの高級ホテル「コンラッド」や映画館などが入る高さ211メートルの大型ビルを栄広場の跡地に三菱地所らが完成させる予定だ。

商業地で地価が最も高いのは名古屋駅前の高層ビル「ミッドランドスクエア」で、2.7%上がり1900万円となった。上位5地点のうち、4カ所が名駅周辺だ。3番目には栄の名古屋三越(1140万円、3.6%上昇)が入った。不動産鑑定士の小森洋志氏は「最近の建築費の上昇や、リニア中央新幹線の開業遅れが名古屋駅周辺の地価への懸念材料」と指摘する。

東京都の商業地は1年前に比べ平均3.3%の上昇、大阪府も同2.5%高だった。新型コロナウイルスの感染対策のため日本への入国が厳しく制限され、いずれもこの数年、海外からの来訪者が落ち込んでいた。対して愛知県は訪日客の増減に景気が比較的左右されにくく、回復が早かったとみられる。

また愛知県内の住宅地価は2.3%上昇した。上昇率が最も大きかった場所は名古屋市東区泉で、18.2%高の130万円だった。名古屋市内では全16区とも平均上昇率が上がり、特に中区や東区で上昇が目立った。愛知県内では比較できる1292地点のうち80%で地価が上がった。22年1月までの1年間で上昇していたのは全体の66%だった。

今回の調査で愛知県内の住宅地では上昇率の上位4、5番目に東海市が入った。いずれも名鉄太田川駅に近い場所で、名古屋駅まで電車で20分以内という交通の便の良さに加え、名古屋市内と比べると地価は低いことが人気だ。東海市の住宅地は平均7.8%上がり県内の市町村別にみると上昇率はトップだった。

さらに刈谷市が6.3%上昇、安城市も同6.2%と西三河の街が続いた。国土交通省では「自動車関連企業の業績が良く(従業員の)住宅の需要が堅調な一方で、土地の供給は不足しており地価の上昇が続いている」と分析している。

一方で、知多郡南知多町の山海小山にある住宅地では地価が9520円と1年前より6.7%下がった。住宅地では全国5番目に下落率が大きかった。

岐阜県内 JR高山駅近くで上昇に転じる

岐阜県内の地価は商業地が0.3%下がり、住宅地もマイナス0.6%と、下落率は前の1年間に比べて小さくなった。

県内の商業地価の2位、3位に入るJR高山駅近くの場所は地価が下落から上昇に転じた。新型コロナウイルス対策のための入国制限によって訪日客の落ち込みは続いたが、国内からの旅行者が徐々に増えており、後押しになっている。市町村別の平均を見ても岐阜市や高山市で上昇に転じている。

ただ商業地では調査を続けている104地点のうち、地価が上がったのは22%(前年は11%)の場所で、52%(前年は70%)の場所が下落だ。

三重の商業地、下げ幅縮小

三重県内の商業地は平均0.3%下がり依然としてマイナス圏だが、新型コロナウイルス禍の影響が出る前の20年1月までの1年間(0.4%の下落)に比べるとやや下げ幅は小さい。住宅地も前年同期に比べて平均0.2%の下げで、減少率は縮小した。

四日市市内は22年1月の調査で商業地・住宅地ともに1年前より下がったが、23年1月時点ではそれぞれ0.5%高、0.3%高と上昇に転じた。国土交通省は「近鉄四日市駅周辺の飲食店への客足が回復しつつあり、再開発への期待やマンション用地の需要もある」と説明する。

三重県内で調査を続けている商業地と住宅地をあわせたうち46%が下落、39%が上昇、16%が横ばいだった。新型コロナの景気への影響はやや収まり、下がった場所は減っているが、まだ上がった場所の数を上回っている。

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