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新築マンション発売、過去最低に 中部3県で建築費高騰

マンションの販売が低迷している。不動産調査や広告を手掛ける新東通信(名古屋市)によると、中部3県(愛知、岐阜、三重)では20年の新築分譲マンション発売戸数が19年比4%減の4023戸と、比較可能な1991年以降で5年連続で最低を更新した。平均価格は8%高の4860万円と3年連続で最高だった。建築費が高騰し、付加価値を高めるために高級な施設が目立つ。立地も名古屋圏の中心部が増えている。

21年に発売するローレルタワー藤が丘(仮称、イメージ)

広さ対比では割高感との見方もある。1戸あたりの平均面積は73平方メートルと19年から若干縮小し、1坪(約3.3平方メートル)あたりの単価は218万円と10%上昇。供給戸数はピークの94年(1万5千戸強)からおよそ4分の1となり、坪単価は最低だった02年(108万円)から倍増している。

中でも名古屋市の中心に位置する中区の平均坪単価は313万円。「400万超えの物件も出始めている」(同社)という。400万円超は東京23区の平均的な水準に匹敵する。

足元で中部圏のマンションを購入するのは「主に富裕層やシニア、高収入の共働き世代」(新東通信の土岐勝啓氏)という。購入者が組める住宅ローンは一般的に年収の6倍前後とされる。単純計算すれば平均価格でも800万円前後の世帯年収が必要となる。もはや平均的な家族層では新築マンションに手が届きにくくなっている。

建築費の高騰が戸数減や価格上昇につながっている。建設業界では人手不足に伴い人件費がかさみ、より好採算とされるオフィスや、東京や大阪のマンションに案件が流れた。資材コストも高まり、郊外の大型マンションの開発が以前より難しくなっている。

マンション開発会社が採算を確保するために好立地と高級化を進めている。物件を資産価値としてみる富裕層や、徒歩圏内で生活したいシニアからの引き合いが一段と強くなりやすい。20年は人気が野村不動産系の「プラウドタワー名古屋錦」や、三菱地所系の「ザ・パークハウス名古屋」といった名古屋駅周辺の特定物件に集中した。

ただ、21年以降は「郊外物件が供給戸数を増やし、平均価格がやや下がる可能性がある」(土岐氏)という。足元では開発会社が再び家族層向けの物件に力を入れているからだ。特に自動車産業が集積する豊田市や刈谷市と名古屋中心部の間に位置する、名古屋市東部で新築が増えている。

近鉄不動産(大阪市)は4月にも地下鉄東山線の藤が丘駅から徒歩3分の「ローレルタワー藤が丘(仮称)」を売り出す。名鉄不動産(名古屋市)らもJR東海道線の南大高駅から徒歩13分に192戸の物件の販売を始めた。名古屋圏中心部の人気は並行して続きそうなため、供給戸数の反転は郊外案件がどこまで底上げできるかがカギと言えそうだ。

(野口和弘)

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