リニア工事中の水量減解消、JR東海が静岡自治体に説明へ

静岡県が反対しているリニア中央新幹線の南アルプストンネル工事を巡り、懸案の一つとなっていた工事中に大井川の水が減る懸念の解消に向けてJR東海が流域の自治体への説明を始める。8日に静岡県に対して関係する交渉への理解を求める文書を出した。9日の定例会見で金子慎社長は「(協議開始への)了解へ努力をしようとしている」と説明した。
大井川の水量を確保するためJR東海は2022年4月、東京電力が持つ田代ダムの取水を抑えるなどの案を静岡県に示していた。東京電力は、JR東海との調整について、流域関係者の了承を前提としている。JR東海の申し入れに対して静岡県の川勝平太知事は9日、「(流域の自治体が加わっている)大井川利水関係協議会の開催を早急に調整し、JR東海が説明する場を設ける」とコメントした。
南アルプストンネルの工事中に田代ダムの取水を抑える案について静岡県は、東電が協力するとの確約を求めている。さらに流域の自治体が関わる協議は県に窓口を一本化しており、JR東海は静岡県の用意するテーブルでの交渉となる。
静岡県内のリニア工事は大井川の問題を受け、着工していない。さらに南アルプストンネル工事は周辺の自然環境への影響が大きいとも懸念されており、この点でも静岡県との調整が控えている。
