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「スタートアップ点火」中部から世界 名古屋支社シンポ

討論する(左から)水野、松尾、藤田、松下の各氏(8日、名古屋市中区)

日本経済新聞社名古屋支社とテレビ愛知は8日、名古屋市内でシンポジウム「ナゴヤは新しい『名企業』を生み出せるか デジタル革命期のスタートアップ点火」を開いた。中部では起業を目指す若者が増え、産官学を挙げてスタートアップ支援に取り組んでいる。世界的な起業拠点を目指す上での課題などについて幅広く意見を交わした。(シンポジウム詳細は22日付朝刊特集面に掲載します)

シンポジウムには中部経済連合会の水野明久会長、名古屋大学の松尾清一学長が登壇。中部を拠点とするコーポレートベンチャーキャピタル、MTGベンチャーズ(名古屋市)の藤田豪社長と、名大発スタートアップ、オプティマインド(同)の松下健社長を交えて議論した。

水野氏は中部について「世界的な製造業の集積地で大学群の基礎研究は世界に匹敵する」と指摘。新型コロナウイルス禍でも自動車産業が次世代技術「CASE」に積極投資したり、課題解決に外部の技術を生かすオープンイノベーションの機運が高まったりするなど、スタートアップと企業が協業できる素地は大きいとの見方を示した。

名古屋市は浜松市とともに、国がスタートアップの育成を重点的に支援する「グローバル拠点都市」に選ばれた。水野氏は「産官学が力を結集し、この追い風を生かしていく。コロナ禍でも歩みを止めず、着実に活動を進めたい」と述べた。公共データの活用も新しいビジネスを生み出していく上で重要だとした。

松尾氏は「周囲に先行事例が少なく、起業マインドが乏しいのが課題だ」と分析した。増えつつある名大発スタートアップは起業を積極的に後押しする教員の下から多く輩出されており、こうした学生を選んで投資する会社が出ているという。「好循環が生まれつつあり、連鎖することで周囲の意識も変わる」と強調した。

起業家の裾野を大きく広げることが重要だと指摘した上で、国公私の9大学による起業家育成支援「トンガリプロジェクト」の参加大学を拡大し、受講者を現在の3倍となる1万人に増やすと表明した。海外の大学では起業が学位取得の要件になっているケースもあり、在学中の起業に向け大学も柔軟に対応する考えを示した。

藤田氏は人材について「中部の大手製造業だけで何万人もの優秀な若手がいる。彼ら彼女らとスタートアップが交わることでさまざまなアイデアが生まれてくる」と話した。企業は人材を抱え込まず、兼業や副業を柔軟に認めて「多様な働き方を促してもらいたい」と求めた。

水野氏は「コロナ禍で兼業、副業を希望する人は増えている。社内で得られない知識を得たり、人脈を広げたりすることができれば企業にとって事業拡大のきっかけになる。労働時間管理の課題もあり、全社一律の導入は難しいかもしれない。新規開発部門など部署の特徴に応じて兼業や副業で力を発揮してもらっていいかと思う」と応じた。

起業家を増やしていくには小中高生の時から起業について考える機会を与え、将来の選択肢のひとつとして認識してもらうことが重要になってくる。藤田氏は「子どもの教育を通して、親世代の起業に対する(後ろ向きな)意識を変えるチャンスにもなる」と述べた。

松下氏は「中部圏には研究力が高い理系人材がそろっており、製造業を中心にした大企業にも優秀な人材が多数いる。ここ数年はスタートアップを志望する意欲的な学生も増えており、人材面でのポテンシャルは高い」と分析した。一方、起業後に組織作りや経営戦略などで手を取り合って支援してくれる経験豊富な人材が足りていない課題を挙げた。

学生発スタートアップへの期待が高まるが、起業しても成功するのはごく一部だ。現在も名大に在籍する松下氏は「学生を採用する企業には、リスクを取って起業した経験があることを評価するとのメッセージを積極的に発信してほしい」と要望し、企業や行政の担当者にはフランクに話しやすい若手を据えてほしいと話した。

水野氏は「起業経験のある学生は少ない。卒業が1、2年ずれたとしても企業は歓迎するだろう」とコメントした。

シンポジウムはコロナ感染防止のため、オンライン形式で開催した。

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