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入院数は宣言目安に迫る 愛知県、まん延防止の延長要請

愛知県の大村秀章知事は6日の記者会見で、5月11日を期限とする新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の延長を6日付で政府に要請したと明らかにした。延長を前提に、12日から一宮市など尾張地域の25市町村を対象地域に加える方針も示した。飲食店への時短営業の要請を続けて感染拡大を抑えたい考えだ。

利用客が少ないJR名古屋駅の東海道新幹線ホーム(5日)

「現段階では感染拡大傾向が続いていると見ざるをえない」。大村氏は重点措置の延長要請・拡大の理由を説明した。県は4月20日から重点措置の対象地域に名古屋市を指定。名古屋市内の飲食店には午後8時まで、その他の市町村の飲食店には午後9時までの時短営業を要請していた。5月12日からは新たに25市町村にも午後8時までの時短営業を求める。

25市町村は一宮市、瀬戸市、春日井市、津島市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、尾張旭市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、飛島村。

12日以降に時短営業に応じた飲食店への協力金は現在の水準を維持したい考えだ。例えば、名古屋市内の中小企業には売上高に応じて、1日1店舗当たり4万~10万円を給付している。25市町村の協力金は名古屋市と同じになる。

重点措置にも関わらず、県の感染状況は悪化の一途をたどる。新規感染者数(7日間平均)は緊急事態宣言を要請する目安となる260人を上回る状況が続く。感染力が強いとされる変異ウイルスの割合が足元で7割を超えているほか、県民の「自粛慣れ」で感染抑止策に十分な効果が出にくくなっていることも一因とみられる。

病院にかかる負荷は大きくなっている。入院患者数(7日間平均)は599人と、緊急事態宣言を要請する目安の600人目前だ。

名古屋市立大東部医療センターは4月から新型コロナ病床を約20床増やしたが、患者の急増に追いつかずほぼ満床が続く。軽症者の一部はホテルや他の病院で待機している。浅野実樹副院長は「このままでは集中治療室(ICU)が埋まり通常診療にも影響が出かねない」と危機感を示す。

浅野氏によると40~50代の重症化が目立つといい「若くてもリスクはある」と訴える。名古屋市の担当者も、市内のコロナ病床について「限りなく満床に近い状況」という。

医療機関の負荷が大きい重症者も足元で急激に増えており、7日平均で30人を超えた。大村氏は「こういう状況が続けば、どちらかの段階でさらに厳しい措置を検討せざるを得ない」と指摘。「医療の状況が一番のポイントだ。緊急事態宣言も視野に入ってこざるを得ない」とも述べた。

緊急事態宣言が4月に発令された東京都や大阪府は商業施設などに幅広く休業要請をしており、愛知県でも3度目の発令となれば経済的な打撃が大きくなりそうだ。

東海道新幹線7割減、中部空港は6割減


人流が抑制されたゴールデンウイーク(GW)が明けた。期間中の東海道新幹線の利用は新型コロナウイルス禍前の2019年比7割減、中部国際空港の国内線旅客数は6割減だった。外出自粛が続く中、旅館の稼働率も2割と振るわない。
JR東海によると、東海道新幹線の利用客は新型コロナが拡大する前の19年に比べ73%減だった。4月28日から5月5日までの間で91万5千人が利用した。旅行や帰省控えが響いたと見られる。全国で緊急事態宣言が発令された20年のGW期間と比べると利用者は5倍になった。在来線は19年比71%減の5万人が利用した。
日本航空と全日本空輸によると、4月29日から5月5日の間に中部国際空港を発着する国内線の利用は19年比で6割減った。出発便と到着便を合わせた旅客数は日本航空が63%減の2万7千人、全日本空輸が61%減の3万6千人だった。
観光施設の利用も振るわなかった。名古屋城のGW期間中の来場者数は1日あたり3千人で、19年比で8割減にとどまった。コロナ禍前は県外からの団体客でにぎわっていたが、今年はほとんど見られなかった。
愛知県ホテル・旅館生活衛生同業組合は組合員である約430の中小旅館へのヒアリングによるとGW期間中の宿泊者数は19年の2割程度だったという。

逆境深まる観光業、直接給付求める声も


新型コロナウイルス禍が始まって1年余り。訪日外国人は消え、国内観光客も大幅に減った。政府は観光業を支えるために需要喚起策「Go To トラベル」を打ち出したほか、愛知県も県内旅行に最大1万円を補助する取り組みを実施した。
しかし、感染が拡大すると、こうした支援策は中止に追い込まれた。不要不急の外出自粛を求めるなかで観光旅行を促すのは難しい。政府は観光業者の資金繰りのために無利子・無担保融資も実施したが、これはいずれ返済するお金だ。将来の見通しが立たなければ事業の継続は難しい。
実際に倒産も増えている。帝国データバンクによると、2020年度の宿泊業者の倒産(負債額1000万円以上)は全国で125件で、前の年度から67%増えた。00年度以降では東日本大震災の影響を受けた11年度以来の高い水準だ。帝国データによると20年の4月~12月の宿泊業の売上高の前年比減少率は9.6%と飲食店(11.3%)に次ぐ大きさだ。
通常なら競争力の低い事業者が淘汰されるのはやむを得ないが、新型コロナ禍ではサービスの質や価格競争力が高い事業者でも売り上げが激減し、経営に苦しむ。このままではいずれ観光客が戻っても、担い手となる事業者が足りなくなりかねない。持続化給付金のような公的な直接給付策なども検討課題になる。

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