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自動倉庫で狙う30兆円EC市場 豊田織機、事業収入2倍に

豊田自動織機は新型自動運転フォークリフトを発売するなど、倉庫の自動化を加速する

トヨタ自動車グループの豊田自動織機は物流倉庫の自動化を加速する。5日、新型自動運転フォークリフトと倉庫向け自動化システムを5月から国内で発売すると発表した。電子商取引(EC)の普及による物流量増加や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「3密」回避の需要の高まりに応える。豊田織機は倉庫自動化を含む物流ソリューション事業の売上高を2026年3月期に6000億円と21年3月期(見込み)の2倍に引き上げる計画だ。

「生産年齢人口の減少で物流業界でも危機的な状況が叫ばれるなか、自動化や省人化ニーズが一層高まっている」。豊田織機の宮島久典執行職は5日、20年ぶりにリニューアルした製品ショールーム「トヨタL&Fカスタマーズセンター東京」(千葉県市川市)で物流業界が抱える課題についてこう話した。同ショールームでは自動運転フォークリフトや保管仕分けシステムの実演が見られるほか商談室を備えており、6日から新たに営業を始める。

豊田織機は5月、新機能を加えた自動運転フォークリフト「リノバAGF」を国内で発売する。自動運転の仕組みはこうだ。まずフォークリフトに倉庫地図のデータを取り込む。倉庫内に3カ所以上、レーザーを当てるとはね返ってくる「反射板」を設置する。

フォークリフトはレーザーを飛ばして反射板の位置を検出することで、倉庫内で自らの位置を測定しながら自動で走行する。同方式は「レーザーリフレクタ式」と呼ばれ、位置推定の誤差がプラスマイナス2センチーメートル以内になる。荷役台(パレット)にフォークリフトの先端部分「フォーク」を差し込んで持ち上げる作業の正確性が高まる。

豊田自動織機は吊り下げ式の仕分けシステム「ポケットソーター」を発売する

あわせて5月に倉庫内の仕分け作業を自動化する2つのシステムを発売する。1つ目は「ポケットソーター」。建屋の天井近くの空間に張り巡らせたレールにつり下げられた袋の「ポケット」に、小物やハンガーにかかった衣服などを入れると自動で顧客向けごとに商品を保管、仕分けするシステムだ。豊田織機の蘭子会社「ファンダランデ」のシステムで、天井空間を利用するため床面を他の作業エリアとして使える。

2つ目は「シュアソート」で、コンベアに商品を置くと、搬送ロボットが自動で顧客ごとに小物商品を仕分けするシステムだ。1時間当たり約2400個の商品を仕分けでき、人を中心とする従来型の作業と比べると生産性は約5倍だ。両システムともに通販やアパレル向けの販売を見込む。

豊田織機が倉庫の自動化を進める背景には、慢性的な人手不足に加えて米アマゾン・ドット・コムや楽天を中心としたEC市場の拡大がある。特に個人向け配送を中心に日用品など小物の流通量が増えており、倉庫の仕分け作業が煩雑になっており自動化が求められている。野村総合研究所の調査によると、国内の消費者向け(BtoC)のEC市場規模は26年に約29兆円と20年比で5割近く伸びる見通しだ。

さらに新型コロナ感染拡大で密閉・密集・密接の「3密」を避けるためにも、倉庫作業の自動化のニーズは高まっている。宮島執行職は「コロナ感染拡大も自動化ニーズの高まりを後押ししている」と話す。

豊田織機は17年に物流倉庫向けのシステムや機器を提供する蘭ファンダランデ、空港の物流システムを手掛ける米バスティアンを買収した。海外グループ企業の知見を融合しながら、物流事業で高まる自動化需要を的確に捉えて主力事業の成長を一段と加速できるか注目される。

(藤岡昂)

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