公営住宅は保証人不要、国方針も自治体規定9割変わらず

総務省中部管区行政評価局は5日、保証人の確保が難しい高齢者らの公営住宅への入居についての調査結果を発表した。身寄りのない高齢者が増え、国土交通省は2018年に公営住宅の入居に保証人を求めない方針を打ち出している。ただ公営住宅を100戸以上管理する東海4県の99自治体のうち、保証人規定の廃止は1割強にとどまる。
愛知、静岡、岐阜、三重の東海4県で100戸以上の公営住宅を管理する99自治体を対象に5~9月に調査した。県営住宅や市営住宅などについての条例から保証人規定を削除したのは愛知県や名古屋市、岐阜市など14自治体で14%にあたる。規定が残る85自治体のうち4割の34は保証人を2人求めていた。
保証人の確保が難しいという理由で入居を辞退した例は、規定が残る85のうち27%の23で起きていた。規定を残している理由を聞いたところ「家賃収納率の低下が懸念されるため」が最も多く「緊急時の連絡先など家賃の債務保証以外の役割も保証人に求めているため」が続いた。
ただ規定をなくした自治体への調査では、家賃収納率が大きく下がったケースはなかった。行政評価局は保証人の確保に伴う業務が減り、家賃の納付指導に力を入れられるとみている。急病といった緊急の時は、保証人の代わりに提出を受けた緊急連絡先に連絡することが多いという。
国交省は18年、低所得者に住宅を提供する目的を踏まえ、公営住宅への入居に保証人を求めない方針を打ち出した。東海4県では20年度までに規定をなくした自治体が相次いだが、21年度以降に削除した例はないという。行政評価局は調査を受け、国交省中部地方整備局に保証人規定の削除を促すよう求めた。