中部経済界 年頭所感「新産業育成」「構造転換」の声

4日は多くの企業や団体で2023年の仕事始めとなった。中部の経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や為替の急変、物価高、米中の分断をはじめ大きな環境変化に直面している。経済団体や企業のトップの年頭所感には、新産業を育て事業の構造を見直す決意が並んだ。
名古屋商工会議所の嶋尾正会頭は「経済・社会構造が大きく変化する時代に企業が安定的に成長を続けるには、常に環境に適応し自らを変える『挑戦』や『変革』を続けていく必要がある」と指摘。中部経済連合会の水野明久会長もスタートアップを支え、次世代のモビリティー(移動体)産業づくり、カーボンニュートラル社会に向けた取り組みなどを通じ「高い付加価値を生み出す産業の創出と、持続的な成長、地域社会の課題解決を目指す」とした。
愛知県経営者協会の大島卓会長は労働人口が減る中で「労働生産性の向上や労働参加率の上昇、円滑な労働移動を同時に進めることが重要な経営課題」といい、会員企業のサポートに力を入れる。
企業トップからも変化への対応を進める声が相次いでいる。
日本ガイシの小林茂社長は「これまで当たり前だと思っていたことが変わっていくVUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代だが、社会の変化を追い風として捉えて前進するチャンスだと考えている」という。OSGの大沢伸朗社長も「これほど流れが速い時代に対して足踏みをしている場合ではない。目標達成のためには今までの常識にとらわれないこと、自分に限界を設けないこと、自らの殻をやぶること」と社員に奮起を促した。
アイシンの吉田守孝社長は23年から事業の中身を変え質を上げる「『フルモデルチェンジ』の3年にしていく」という。車の電動ユニットを生産するため大規模な設備投資を急ぎ、カーボンニュートラル技術を生かした新事業を検討するなどしていく。
また企業向け電力販売でカルテルを結んだとして公正取引委員会から課徴金納付命令の処分案を通知された中部電力。林欣吾社長は「『コンプライアンス(法令順守)なくして信頼なし。信頼なくして発展なし』を念頭に、日々の業務に取り組んでほしい」と呼び掛けた。