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寺院巡礼から忍者ガイド養成まで 東海の日本遺産多様に

データで読む地域再生

地域の歴史的魅力や特色を構成要素として、日本の文化・伝統を語る「ストーリー」を組み立て、価値ある遺産として文化庁が認定する「日本遺産」。愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県には合計11件の登録がある。各県の内訳は、岐阜県が4件で最多となり、三重県3件、愛知県と静岡県がそれぞれ2件となっている。各地で歴史を生かして、地域活性化や観光客誘致の取り組みが続いている。

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岐阜県は登録数が東海4県で最多だ。西濃地域の揖斐川町で2019年に「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」が日本遺産に登録された。地元では同年、巡礼の最終三十三番目の寺となる谷汲(たにぐみ)山華厳寺まで約7キロメートルを白衣やつえなどの装束で歩くウオーキングを実施した。

22年3~4月に町内の有志も協力し、華厳寺の門前通り約500メートルを竹でできた灯籠(とうろう)などで照らすイベントも行った。担当者は「SNS(交流サイト)を通じ、高齢者層だけでなく若者も詰めかけた」と話す。

「飛驒匠(たくみ)の技・こころ」が16年に登録された高山市は、22年から遺産を構成する48の文化財を回る様々なラリーを始めた。神社仏閣、高山祭で使われる屋台や収蔵蔵の写真を撮る「フォトラリー」は、撮影した画像を市役所施設などで提示すると、該当する文化財の写真と説明が入った「日本遺産カード」がもらえる。48種類のカードをすべて集める人もいて、月700枚以上が配られる時もあるという。

三重県明和町では15年に「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」が登録された。斎王とは、平安時代に伊勢神宮の天照大神に仕えるために京の都から伊勢に派遣された皇族の若い女性。明和町には斎王が暮らした「斎宮」の跡があり、文化財の管理保存や、斎王が都から往来する行列を再現するイベントが開催されてきた。明和町は町内の官民で協議会を作り、ガイド事業やSNSでの発信、イベントでの協力などを進めてきた。

最近は一般社団法人「明和観光商社」が推進役となり、年40件ほどのイベントを手がける。明和町は「観光商社がけん引役になってから、もうかる仕組みづくりが動き始めた」(斎宮跡・文化観光課)とみており、今後は町をあげ訪日外国人を呼び込める体制づくりを進める。

三重県伊賀市と滋賀県甲賀市は共同で申請し、17年に「忍びの里 伊賀・甲賀 リアル忍者を求めて」が登録された。両市でかつて活躍した忍者の歴史や伝統を紹介する取り組みが共同で続けられている。

伊賀市が主担当となって進めてきたのが、リアル忍者ガイドの養成講座だ。受講者が黒い忍者の装束を着て実地研修をすることもあった。これまでに両県で10人ほどがガイドとして定着し、個人の旅行者や修学旅行生らに丁寧に説明してきた。12月10日にも伊賀市で養成講座を開く。

静岡県では20年に「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」が登録された。静岡市と藤枝市にある江戸時代の8つの宿場が登録された。各宿場にあったガイド団体が相互に実地研修を手がけるようになった。日本遺産を土産物や飲食店で活用しようと、両市の関連団体が作る協議会がブランド「駿州堂」を立ち上げた。

24事業者が商品開発に取り組み、10月末時点でムカゴを使ったようかんなど15商品が完成している。11月に開催された大道芸ワールドカップにも土産物などを売る露店を駿州堂のブランドで出した。今後は新東名高速道路のサービスエリアなどでも駿州堂のロゴをつけた土産物を販売する計画だ。

愛知県では瀬戸焼や常滑焼などの「日本六古窯」が知られる。これらの産地にある窯跡やれんが造りの煙突、工房までの細い道などが「きっと恋する六古窯」として17年に登録を受けた。常滑市では、土管が積み上げられた坂道や狭い路地が人気で、新型コロナウイルスが流行する前の19年には33万人が訪れた。

常滑市は22年10月から常滑焼の窯をリノベーションしたレストランで飲食したり、常滑焼の資料館を見学したりできる定額制のタクシーツアーを始めた。常滑焼で料理を提供する市内の飲食店や宿泊施設には食器の購入費の一部を補助する制度も17年に設けている。

(小山隆司、西堀卓司、大倉寛人、大久保希美)

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