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雪捨て場も自動選定 北海道の「自治体AI」サービスから

データで読む地域再生 北海道

総務省の調査によると北海道179市町村で人工知能(AI)を「導入済み」と回答した自治体は12市町、6.7%にとどまった。全国41位と低迷するAI活用だが、競争力低下を最小限に抑えるには欠かせない。住民サービスの低下はさらなる人口減を招きかねないとみて、AI活用に本腰を入れる市町村もある。

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総務省の調査は行政の現場に多数ある定型作業を効率化するAI導入を調べたもの。新型コロナウイルスの感染拡大で働き方が激変した2020年度は4市が「実証実験中」と回答した。デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる全国と比較すると遅れは否めないが、競争力に直結する住民サービスの改善にAIを導入する自治体は増えつつある。

札幌市は札幌市立大学と共同で、道路の除雪現場から最適な堆積場をAIで選ぶシステムの開発に乗り出している。20年度までは町内会レベルの小規模な除排雪のケースを分析してきたが、今年度からは幹線道路を通る大規模除排雪に対象を拡大。気象データや堆積場までの距離、利用状況などのデータをリアルタイムで収集して選ぶ。

除排雪では最盛期1日あたり1500台前後のダンプが出動し、74カ所の堆積場には車列ができることも多い。住民サービスの向上にくわえ、燃料費の圧縮につながる「走行距離削減」(まちづくり政策局企画課)という副次的な効果もありそうだ。

ピンポイントで目的を絞るのは留萌市。大手予備校の河合塾と提携し、AIを活用して生徒の学習レベルに応じた問題を提示できる数学学習プログラムを留萌高校に導入する。市内唯一の高校も市内や周辺からの進学率が低下し、定員割れが常態化している。生徒の学力向上で人気の低下を食い止める狙いは明確に映る。

一方、苫小牧市がAIを活用する狙いは庁舎内の事務作業の効率化だ。20年から21年2月まで、異なる部署の職員間の問い合わせに自動で回答するチャットボットを試験導入し、システムで受けた質問は5591件で、うち55.6%に自動回答した。今年度から本格運用を始めている。

システムを開発したベルズシステム(福岡市)では費用対効果を年間で191万円と算出しており、利用率が高まるほど費用対効果も高まる。今後は「市民からの問い合わせにも広げるにはどうすればよいかを探る」(同市行政管理室)。

インフラの維持では、室蘭市が室蘭工業大学と共同で全地球測位システム(GPS)を用いて車載カメラの画像から路面のひび割れ率を自動検出するシステムを開発した。車2台で6カ月間、市が管理する約440キロメートルの道路を往復。2週間のAI解析を経て、傷み具合を3段階に色分けして地図に落とし込んだ。

室蘭工大大学院の浅田拓海助教(土木工学)は、学校周辺や住宅街の道路など利用状況による重要度を掛け合わせたデータを作成中で、「導入を検討する自治体からの問い合わせが来ている」という。

無人トラクターの遠隔制御などのスマート農業に積極的な岩見沢市は、気象観測装置や田畑に据え付けた土壌水分・地温計測器などで取得するビッグデータをAIで解析している。主要な作物毎の生育予測値は農家に有償で提供。市は「農業人口の減少で匠の技の伝承は困難になっている。データを活用した農業で未経験者の就農につなげたい」(情報政策部)と狙いを説明する。

(檀上泰弘)

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