北海道20信金中14信金が増益 22年3月期、倒産少なく

北海道内に本店を置く20信用金庫の2022年3月期決算が出そろった。北海道信用金庫協会(札幌市)のまとめによると、14信金が増益を確保。20信金の純利益合計は4%増の137億円になった。取引先企業が新型コロナウイルス禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で倒産を回避し、信用コストが減少した。
純利益は苫小牧信金が17億円で最大だった。道内最大手の北海道信金(14億円)や旭川信金(12億円)、北見信金(10億4800万円)、帯広信金(10億900万円)が続いた。ゼロゼロ融資による貸し出しが20年度に急増し、企業は資金を得て事業を継続でき「倒産件数は少なく引当金の戻り益があった」(稚内信金)という。
新型コロナ禍で出張やイベントが減るなど経費削減も増益に寄与した面もある。純利益が90%減った渡島信金は「新型コロナ禍で大口取引先の倒産があった。貸倒引当金を積み増し、一時的に減益となった。本業のコア業務純益は確保できている」と話す。
預金残高(期中平均)の合計は6%増の8兆4764億円だった。全20信金で増加した。貸出金残高(期中平均)は3%増の3兆4284億円。16信金で伸び、21年3月期実績を上回った。
民間金融機関がゼロゼロ融資の取り扱いを終えた後も、信金による札幌エリアで不動産向け融資は底堅く推移する。「21年度はアパートローンの貸し出しも貢献した」(日高信金)といった声が出ていたほか、留萌信金でも札幌中心に不動産関連の資金需要があったという。
今期以降の懸念材料は、一部で始まったゼロゼロ融資返済が滞りなく進むかだ。渡島信金は足元の燃料高が業績に悪影響を及ぼしかねないと警戒する。稚内信金も不確定な要素が多いとみている。

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