/

日本ガイシと網走市が太陽光発電会社、大型蓄電設備も

日本ガイシと北海道網走市は、太陽光発電の新会社を27日に設立する。市内の公共施設などで消費する電力の1割をまかなえる発電ができるようにする。2018年の北海道胆振東部地震でブラックアウト(全道停電)を経験しており、非常時にも防災の拠点が機能する環境を築く。

新会社はあばしり電力(網走市)で、23年4月から発電や電力供給を始める。発電出力は1500キロワットを見込む。資本金は7000万円。日本ガイシが6000万円、網走市は1000万円を出資する。あばしり電力は25年3月期の単独売上高で7200万円を目指す。社長は日本ガイシのエナジーストレージ事業部の村本正義管理部長が就く。

市内4カ所に2万6000平方メートルの敷地を確保した。太陽光パネルや日本ガイシが手がける大型蓄電設備「NAS電池」を設置。約100世帯が1日に消費する電力量を保管できる。

あばしり電力は市庁舎など公共施設や日本ガイシ子会社のNGKオホーツク(網走市)に供給する。対象全施設の1割にあたる消費電力をまかなう。加えて環境負荷の低さを前面に押し出し、市内の事業者に同社の電力利用を促す。

災害時の避難場所になる市立潮見小学校にはあばしり電力が自前の送電線(自営線)を設ける。NAS電池も配備し、停電時でも普段と同じように過ごせるようにする。あばしり電力は当面、一般家庭に供給せず、市場調達も手がけない。

新電力が卸電力市場からの調達価格の高騰に耐えきれず、撤退する動きが相次ぐ。

北海道電力によると、道内の平均的な電力消費は350万キロワット程度。北海道と本州を結ぶ連系線(90万キロワット)ではブラックアウトのような事態が発生すると補えない。太陽光発電の導入実績は20年度に199万キロワットと、直近5年で2倍になった。再生可能エネルギーを導入し、停電リスクを回避する動きが今後も広がりそうだ。

再生エネルギー会社を機に、国内外から投資呼び込む

網走市の水谷洋一市長は日本経済新聞の取材に応じ、共同出資して設立する太陽光発電会社を機に、脱炭素へ関心の高い企業から投資を呼び込む考えを示した。市内の事業所などにも再生エネルギーの利用を呼びかけ、売電収入を拡大。発電規模を増やしたいとも語った。主なやりとりは以下の通り。

――日本ガイシと太陽光発電を始める理由は。

「土地が広く日照時間も長い網走は太陽光発電の適地だ。ただ、太陽光発電は天候で発電量が変わるため、日本ガイシの大型蓄電池『NAS電池』は期待が大きい。子会社のNGKオホーツクの存在も決め手になった。18年にブラックアウトを経験し、非常用電源の重要性を再認識した。非常用電源として活用できることもメリットだ」

――市が太陽光発電に取り組む意義は。

「政府が宣言した50年に(温暖化ガス排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラルは国際公約だ。流れは止まらない。市として初めて再生可能エネルギーの発電事業者に出資し、網走ができる脱炭素への第一歩を踏み出した」

――新会社の売上高はどう伸ばしますか。

「市内の工場や事務所で使う電力を太陽光発電へ切り替えてもらうよう促す。再生エネルギーへの出資を機に、(環境意識の高い)企業や海外からの投資を呼び込みたい。需要が増え次第、発電能力も高めていく」

(聞き手は神野恭輔)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン