北海道銀行、北海道信金の店内に全国初の共同窓口

北海道銀行と北海道信用金庫(札幌市)は14日記者会見し、同信金の寿都支店内に共同窓口を開くと発表した。両者によると、銀行が信金店内に共同窓口を開くのは全国初。北海道銀の兼間祐二頭取は「今回のスキームを寿都で終わらせる考えはない」とさらなる連携拡大に意欲を示した。
道銀が8月に寿都支店(北海道寿都町)の機能を約40キロメートル離れた岩内支店(同岩内町)に統廃合すると実店舗がなくなるため、北海道信金寿都支店(同寿都町)に共同窓口と道銀ATMを設置する。道銀の行員は置かず、住所や氏名、印鑑の変更、キャッシュカードや通帳の再発行、通帳記帳や繰り越しなどに限定して対応する。
道銀の窓口を持つ実店舗数(出張所含む)は130。兼間頭取は「機能維持のためゆうちょとの連携も考えてきた。今回は思いを具現化できた」と胸をなでおろした。共同窓口の営業時間は平日午前9時~午後3時で、ATMは平日午前8時45分~午後5時まで、年末年始や土日祝日は営業しない。8月以降は寿都郵便局のゆうちょ銀行ATMでも、道銀利用者のATM利用手数料を無料とする。

北海道信金との連携で道銀は共同窓口やATM設置費用(金額は非公表)を支払うものの、実店舗の運営と比較すれば大幅にコストを削減できる。預金口座の解約や解約による振替・振込、キャッシュカードの新規発行業務は銀行代理業の許可取得が必要となるため、道銀の預金口座の解約などは北海道信金寿都支店の共同窓口に置くテレビ通話システムを使い、道銀本店の行員とやりとりしながら進める。
兼間頭取は「金融機関同士の過度な競合は体力を奪い合い、地域の金融機能を維持できなくなる」と強調した。北海道には地銀・第二地銀2行にくわえて信金、信用組合も合わせれば約30の金融機関があり、道銀の預金者は釧路信金、遠軽信金、渡島信金、北空知信金、北見信金の5信金のATMを利用手数料無料で利用できる。北海道信金との連携ではさらに窓口業務にも踏み込む。
一方、北海道信金の店舗数(21年9月末時点)は81。共同で記者会見した前田繁利理事長も「信金業界としては全国初の事例。連携して利便性の維持に努めていきたい」と語った。21年9月末現在の預金残高は1兆2577億円と道銀(5兆4651億円、同3月末時点)の5分の1程度。信金にとっても共同窓口は固定費をかけて維持している支店の人員を有効活用できるメリットがある。
両者の提携ではコールセンター業務などを手がけるSocioFuture(ソシオフューチャー)を挟み、住所変更などの手続きを電子化する。道銀の伝票を北海道信金寿都支店に送る手間や、信金職員が見慣れない伝票を扱う負担を軽減。同社のシステムは南都銀行や東日本銀行が導入済みで、金融庁などと調整しやすい面もあったという。
(高橋徹、井田正利)