北海道の日銀短観マイナス1に改善 個人消費持ち直し

日銀札幌支店が13日発表した北海道の12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の業況判断指数(DI)はマイナス1と前回調査(9月)から5ポイント改善した。改善は2期ぶり。食品製造やサービス消費関連で新型コロナウイルス禍からの持ち直しがみられ、製造業・非製造業ともに上昇した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出する。北海道の製造業108社、非製造業336社の計444社から11月10日~12月10日に回答を得た。回答率は99%。大半の企業は11月中に回答し、新型コロナの新たな変異型「オミクロン型」の影響は織り込んでいない。
13日記者会見した日銀札幌支店の石井正信支店長は「緊急事態宣言の解除で人の動きが回復し、個人消費に持ち直しの動きがみられる」と話した。
非製造業は5ポイント改善のマイナス6だった。1ポイント悪化した前回から改善に転じた。10月に新型コロナ対策の緊急事態宣言を政府が解除したことで、サービス消費関連を中心に回復した。定山渓観光協会(札幌市)の長谷川信之事務局長は「新型コロナ禍以前と比べるとまだまだ」としつつも「10~11月は週を追うごとに宿泊客数が増えた」と話した。

スーパーなどと比べ巣ごもり需要の恩恵を受けにくかった百貨店も業況が上向いた。札幌の主要百貨店全店で11月の売上高が前年同月に比べてプラスを確保した。「旅行など外出用の婦人服の売り上げが伸び、催事の客数も多かった」(札幌丸井三越の本間彩織氏)という。
卸売は16ポイント改善してプラス3になった。飲食店向け食材などの販売を中心に回復した。居酒屋チェーンを展開する伸和ホールディングス(札幌市)では「大人数の宴会はほとんどないが、10~11月は4~5人くらいの来客が増えて新型コロナ禍以前に近づいた」(中山洋輔取締役)という。
製造業は3ポイント改善のプラス12だった。エネルギーや原材料価格の上昇は企業にとって重荷になったが、住宅用木材製品や物産展向けなどの食品が堅調だった。スープ製造が主力で外食向けの販売比率が高い和弘食品は「10~11月は春先と比べて売り上げが回復している」(加世田十七七副社長)という。
22年3月の先行き業況判断DIは今回調査から7ポイント悪化のマイナス8。製造業が8ポイント悪化のプラス4、非製造業も5ポイント悪化のマイナス11と慎重な見通しだ。輸入木材の調達難や電気機械の原材料価格高騰などを懸念する声があった。
道銀地域総合研究所(札幌市)の加茂健志朗氏は「オミクロン型の感染動向が行動制限につながり、個人消費の回復に水を差す可能性を注視する必要がある」と指摘する。一方で繁華街すすきのにある居酒屋の店長の男性は「まだ影響は出ていない。またすぐに行動制限ということにはならないのでは」とやや楽観的にみていた。
(久保田皓貴)
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